中国発フィギュアブランド「POP MART」、海外でブランド力発揮なるか ディズニーとのコラボも

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中国発フィギュアブランド「POP MART」、海外でブランド力発揮なるか ディズニーとのコラボも

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近年、中国ではデザイナーズトイ(著名アーティストがデザインしたフィギュア)市場が徐々に盛り上がりをみせており、一般消費者に対する販売の裾野も広がりつつある。なかでも各種デザイントイを販売する「POP MART(ポップマート)」は最大のヒットメーカーだ。同社はディズニーとのコラボ商品でも注目を集めている。
同社が開催する展示会では、限定品を購入するためスーツケースを持った人々が朝5時から列を作り、一度に数万元(約数十万円)分の玩具を購入し、有名デザイナーのサインをもらって微博(Weibo)に投稿するといった現象が生まれている。

POP MART誕生秘話

中国国内のデザイントイ市場の先駆けとなったキャラクターを1つ挙げるとしたら、やはり「MOLLY(モリー)」が最適だろう。

MOLLYとは香港の有名デザイナーKenny Wong(ケニー・ウォン)氏によるフィギュアで、中国国内では2016年にPOP MARTが販売を始め、一躍ヒット商品となったものだ。

MOLLYはディズニーアニメやマーベル映画のような一次コンテンツからの派生商品ではなく、完全なオリジナル商品であり、コアなファンの間では、中国に持ち込まれる前からすでに一定の知名度があったという。当時、デザイントイはまだ一般的になじみのない概念だったが、POP MARTは国内市場での十分な成長ポテンシャルを見込み、MOLLYは同社が売り出す初のIPコンテンツに選ばれている。

POP MARTはもとは電子製品、おもちゃ、文具、食品などの商品を実店舗で販売するバラエティショップだった。その中でデザイントイの売上高の伸び率は最も大きく、ファンの間でも一番の話題となっていた。だが、当時はデザイナーの多くが手作業でフィギュアを製作し、各展示会で販売するスタイルをとっていたため、市場での長期的な販売が可能となるSKU(最小在庫管理単位)がわずかしかないという問題があった。

さらに、当時は中国国内にデザイントイの展示会が存在しなかったため、デザイナーは海外または香港に販路を求めるのが一般的だった。MOLLYの年間販売数は当時は1万個前後であり、Wong氏は生産委託工場をもつ数少ないデザイナーの1人だった。

商品の安定供給を目指したPOP MARTは、自社でサプライチェーンを開拓する方策に出た。包装はブラインドボックス(中身の見えない箱)を採用し、価格とパッケージを統一し大規模で規格化された生産を実現した。結果としてMOLLYは大ヒットとなり、初の商品シリーズ「黄道十二星座シリーズ」は大手EC「天猫(Tmall)」に開設した旗艦店で4秒で完売するほどの人気ぶりをみせた。

POP MARTは現時点で約30人のデザイナーと契約しており、「PUCKY(プッキー)」「LABUBU(ラブブ)」「FLUFFY HOUSE(フラッフィーハウス)」といったオリジナル商品シリーズはすでに50を超えている。POP MARTの共同創業者である司徳氏によると、商品のリリースまでには、デザイナーとの間で意見の交換やすり合わせを何度も繰り返すという。同社が毎年主催する展示会は、今では平均延べ10万人の集客数を誇り、各契約デザイナーごとに準備されたブースがファンとの交流の場となっている。POP MARTは市場の最新動向をデザイナーに対して即時にフィードバックするため、今ではデザイナーが独りよがりな作品を生み出す状態に陥ることもない。

フィギュア「PUCKY」シリーズ

POP MARTの実店舗はすでに100店舗を超え、その多くは1~2級都市の中・高級ショッピングモールに出店し、全店舗で黒字化を果たしている。さらに一昨年にはより多くの地域や3~4級都市へと販路を拡大するため、400台の自動販売機も設置した。オンラインショップも健闘しており、Tmall旗艦店とミニプログラム(小程序)の売上高は全体の30%以上を占めている。昨年の「独身の日」セールではわずか1日で約2800万元(約4億2000万円)の販売額を達成した。

海外市場に進出しブランド力強化へ

同社は海外市場にもターゲットを据え、昨年下半期には韓国とシンガポールに合弁会社を設立している。韓国ではすでにチェーン店数十社での販売を開始しており、自社による店舗開設も計画中だ。さらに今年4月には欧州のパートナーとも契約を締結し、7月にフランスを皮切りにヨーロッパ市場へ正式に進出した。

POP MARTとディズニーとのコラボフィギュア

ただ、司徳氏によれば海外市場では幾つかの問題にも直面しているという。例えば海外の安全検査規格や出荷から販売までの所要日数は中国とは異なるため、さまざまな内部調整が求められている。また各国で好まれるフィギュアのデザインには違いがあり、ニーズに沿った商品開発が欠かせない。

POP MARTの海外進出は、中国文化とブランド力の輸出でもある。将来、ディズニーのぬいぐるみに代わり、MOLLYが海外の子供たちに人気のコレクションとなるかもしれない。
(翻訳・神部明果)

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