中国一のロボット産業都市は? 3兆円超の市場で10都市がしのぎを削る

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中国のロボット産業と産業チェーンは20年という長い成長期を経て、一定の産業構造を構築してきた。

このほど発表された「中国のロボット技術と産業発展に関するリポート(2023年)」(以下、リポート)の中で、中国電子学会はロボットを産業用ロボット、サービスロボット、特殊ロボット、手術支援ロボットの4つに分類している。

そのうち技術的な成熟度が最も高く、活用範囲も広いのが産業用ロボットだ。「世界の工場」と言われる中国の製造業は世界最大規模を誇り、毎年相当数の産業用ロボットが導入されている。

国際ロボット連盟(IFR)のデータによると、世界の産業用ロボットの新規設置台数は2022年に53万1000台となり、そのうち中国が50%以上を占めた。中国は産業用ロボットの設置台数で9年連続世界1位だ。

中国で広く利用されている他のロボットにはサービスロボットがある。中国工業情報化部の関連部門によると、中国のサービスロボットの生産台数は今年上半期に353万台、2022年は年間645万8000台に達し、22年の中国ロボット業界の売上高1700億元(約3兆4000億円)に大きく貢献した。

中国のロボット産業の市場規模は非常に大きく、ロボット関連企業は数十万社にのぼる。そのうち273社が次世代のハイエンド分野を手がける「専精特新小巨人企業」に認定されている。そのため、今年人型ロボットブームが到来するとたちまち数十種類の人型ロボット製品が登場した。

ロボット製造分野では家庭用や業務用掃除ロボット、料理配送ロボット、ホテル用配送ロボット、医療・リハビリや内視鏡手術支援ロボットなど市場が細かく分かれている。中国は近年スター企業を数多く生み出しており、ユニコーン企業さえ誕生している。

例えば家庭用掃除ロボットではエコバックス(科沃斯)、ロボロック(石頭科技)、雲鯨智能科技(Narwal Robotics)、料理配送分野では擎朗智能科技(KEENON)、普渡機器人(Pudu Robotics)、ホテル用配送ロボットでは雲跡科技(Yunji Technology)、九号機器人(Segway Robotics)などだ。

中国電子学会の陳英事務長は、コア部品の国産化も進んでおり、減速機、サーボ・モーター、コントローラという「ロボットの三種の神器」でも、センサーやアクチュエーターでも、匯川技術(Inovance Technology)、奥比中光(Orbbec)などロボットのコア部品を扱う中堅企業が育っていると指摘する。

これらのロボットメーカーとサプライチェーン企業が集まる都市では、それぞれに特徴あるロボット産業クラスターが形成されている。

10大都市がロボット産業で競争

中国電子学会は中国ロボット分野における国家レベルの専精特新企業、小巨人企業、上場企業別に産業クラスターについて統計と分析を行った。その結果、中国のロボット産業は主に北京・天津・河北省地域、長江デルタ地域、珠江デルタ地域の三大産業集積地に集中していることが分かった。そのうち、北京市、上海市、深圳市の一線都市はロボット産業の重要都市であり、長江デルタ地域と珠江デルタ地域は盛んな製造業を生かしてロボットの産業チェーンを構築してきた。

前述の「リポート」によると、ロボットの優良企業が集積する上位10位の都市は北京市、深圳市、上海市、広東省東莞市、浙江省杭州市、天津市、江蘇省蘇州市、広東省仏山市、広東省広州市、山東省青島市だ。これら10都市は重点を置く産業分野でそれぞれに特徴があり、北京市はスマートロボット、深圳市はサービスロボット、上海市は産業用ロボット、東莞市はロボットのコア部品、杭州市はロボットのシステムインテグレーションに焦点を当てている。

天津市は特殊ロボットに注力し、蘇州市には中国の有名ロボット企業が、仏山市にはロボット産業チェーンの川中や川下企業が集積し、広州市は産業用ロボットの開発製造、青島市はロボットの可能性追究に集中する。

上位10都市のうち、いくつかの都市ははっきりとした特色を打ち出している。例えば北京市はスマートロボット、深圳市はサービスロボット、上海市は産業用ロボット、東莞市、仏山市、杭州市はコア部品が特徴であり、強みとなっている。これらの都市はほとんどがロボット産業推進政策を打ち出している。政府の複数部門が共同で今年初めに「ロボット+応用行動実施案」を発表したのと前後して、深圳市は2022年6月に「深圳市スマートロボット産業クラスター育成・発展行動計画(2022-2025年)」を、上海市は今年3月に「上海市スマートロボットの代表的企業・応用シーン推薦リスト」を、北京は今年6月に「北京市ロボット産業イノベーション発展行動案(2023-2025年)」を発表した。

北京市はさらに今年8月「北京市ロボット産業イノベーション促進のための若干の措置」を打ち出した。100億元(約2000億円)のファンドを設立してチームの設立、技術開発、研究成果の実用化、基準の制定、さらにロボット分野の専精特新企業の育成、ひいては企業の資金調達、上場を支援する。

中国のロボット産業、特に上場を考えているロボット企業にとって大きな後押しになることは間違いない。こうした環境がまたユニコーン企業の育成を促し、中国のロボット産業の集積効果がより増大していくことだろう。

作者:鋅産業(WeChat公式ID:xinchanye2021)、山竹

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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