自動車総合情報サイト「易車網」の上場廃止の裏側 テンセントと元創業者の思惑

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自動車総合情報サイト「易車網」の上場廃止の裏側 テンセントと元創業者の思惑

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北京時間9月13日、米株式市場の取引開始前、「易車網(bitauto)」(証券コードBITA)は公告をだした。公告によると、同社は「騰訊控股(テンセント・ホールディングス)」とHammer Capitalからノンバインディング・バイアウト提案を受け、上記2社は1株または1ADS(米国預託株式)あたり16ドル(約1700円)の価格で易車網の流通株式を買い取るという。

これは易車網の過去30日の取引価格より30.6%高値となる。公告を受け、同日の易車網の株価は8.73%上がり、終値は14.95ドル(約1600円)、時価総額は10.49億ドル(約1100億円)となった。

易車網が受けたバイアウト提案のプレスリリースのスクリーンショット画像

易車網CEO張序安氏は社内メールで、今回のバイアウトが完成すれば、易車網は上場廃止すると表明した。

易車網の難局

易車網と同じく自動車情報サイトである「汽車之家(Autohome INC.)」の2018年の財務データを見ても、広告収入が両社ともに40%弱と、大きなウェイトを占めていることがわかる。易車網のもう一つの主要収入源は車両取引手数料で、総売上高の50.8%を占める。ただし、この売り上げは持株会社の「易鑫集団(yixincars)」があげたものだ。

車両取引サービスには大量の人員と在庫が必要で、このことが易車網の人件費やコスト増を招いている。2018年同社の売り上げは105.8億元(約1600億円)に上ったが、赤字は6.08億元(約90億円)となった。それに対し、汽車之家は車両取引業務を段階的に減らしていった結果、2018年に売り上げ72.3億元(約1000億円)、純利益28.7億元(約430億円)となったのである。

経営難に陥ったことが、易車網の上場廃止の原因の一つであることは明らかだ。また、出資する巨大企業側からすれば、今後自動車産業とファイナンスサービスで展開するために、消費者、取引、データすべてを持つ易車網系列の業務構造は、重要な意味を持ちうるのである。

テンセントの構想

易車網は李斌氏により2000年に創立され、2010年にニューヨークで上場を果たした。2014年9月30日には、1株あたり98.28ドル(約11000円)の高値をつけた。

2015年初め、易車網が新規発行する1.5億ドル(約160億円)の普通株を引き受ける形で、易車網はテンセントと初めて資本提携した。「京東(JD.com)」も同じ方法で、易車網に11.5億ドル(約1200億円)を出資した。

その後、易車網系列の企業はテンセント、京東などの巨大企業と密接な資本関係を結びつづけた。2016年6月、易車網はテンセント、バイドゥ(百度)、京東からそれぞれ5000万ドル(約54億円)の資金を調達。同年8月、上記3社が易車網傘下の「易鑫資本(Yixin Capital)」に計5.5億ドル(約600億円)を出資。李斌氏が立ち上げた電気自動車専門メーカー、「蔚来汽車(NIO)」も、京東やテンセントから数度の資金調達を行っている。

そして、現在進行中のバイアウトの目的が易鑫であることは明らかだ。

易鑫集団はもともと易車網のオートファイナンス事業部であり、2014年に独立。2017年11月に香港で上場し、現在の主要業務はオートローンやカーリースだ。9月15日時点での時価総額は108.94億香港ドル(約1500億円)で、易車網の10.49億ドル(約1100億円)よりはるかに高い。

公開情報によれば、テンセントは100%子会社を通し、易鑫の株式を13.12億株所持しており、持ち株比率は20.9%だ。易車網は直接および間接的に易鑫の株式を27.8684億株所持し、持ち株比率は43.74%。易車、テンセント、京東の間で結ばれた議決権行使委託契約を加えれば、易車は易鑫の議決権の53.59%を行使できることになる。

したがって、テンセントとHammer Capitalからなる投資グループのバイアウトが完了すれば、この2社が易鑫の支配権を持つことになる。

36Krが易鑫集団の公告からスクリーンショットした画像

蔚来を救うための現金化

易車網系列の企業が、テンセント、京東やバイドゥから相次いで資金調達してから、李斌氏はEVメーカ「蔚来汽車(NIO)」に注力するようになった。2018年初め、李斌氏は易車網CEOを辞任することを発表し、2006年から易車網に入社した張序安氏が後任となった。

自動車製造は、自動車情報メディアやファイナンス業務と比べ、より多額の資金を必要とし、収益を上げるまでに時間がかかる。蔚来汽車の第1四半期の財務データによれば、総売上高は16.312億元(約240億円)で、26.236億元(約390億円)の赤字となっている。長期にわたる赤字により、蔚来汽車は資金繰りが悪化し、リストラ、組織再編などでコストを抑えようとしている。今回のバイアウトは李斌氏に現金を提供し、その資金は蔚来汽車に供与されることになるだろう。

易車網の2018年度業績報告書に記載された出資者情報

1株また1ADSあたり16ドルの価格での買収となれば、李斌氏は1.24億ドル(約130億円)の現金を手にする。易車網の株式を手元に残すかどうかについて、36Krが李斌氏に確認すると、「一部残す方向だ」との答えが返ってきた。

9月5日午後、蔚来汽車は2億ドル(約220億円)の転換社債の発行を発表し、李斌氏とテンセントがそれぞれ1億ドル(約110億円)分を引き受けた。これより以前に、李斌氏はすでに個人名義で蔚来汽車に1億ドル(約110億円)以上を出資している。

自動車メディアがボトルネック状態になり、新たに立ち上げた自動車製造業務は資金が必要となった結果、李斌氏は前者を現金化し、後者への投資を選択したようだ。
(翻訳:小六)

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