仮想通貨マイニング最大手のビットメイン 第3世代のAIチップを発表

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ビットコインのマイニング専用機の開発と製造で注目を集めている「比特大陸(ビットメイン)」が、AIチップの開発を手掛けている。

9月17日、福建省の福州市で行われた情報戦略の発表会において、ビットメインは傘下ブランド「算豊(sophon)」の第3世代のAIチップBM1684を発表した。このチップはクラウドやエッジコンピューティングにおけるAIの推理力の向上を目指し、台湾のTSMC社の12nmプロセスを採用している。ビットメインによると、同チップは福州市でAIによる都市機能管理事業「シティブレイン」を基礎的な計算力の面で支えるという。

ビットメインは2016年にAIチップ業務に進出した。マイニング専用機の開発で培ったASICにおける技術を使い、クラウドやエッジ端末AIチップを複数発表してきた。その製品は、とりわけ映像分析に最適化されており、顔認識、自動運転、シティブレインなど様々なシーンで応用できる。

福州市のシティブレインのほか、ビットメインは北京市海淀区のシティブレイン事業にも参画している。しかし、シティブレイン事業における投資はまだそれほど多くない。福州市の2019年の当該事業予算は2.16億元(約32億円)程度にとどまっている。

ビットメインの会長、詹克団(Micree Zhan)氏によれば、AIチップはまだ同社の業務のほんの一部でしかなく、出荷数も少ない。今もマイニング専用機の製造と販売が主要業務だ。詹克団氏の予測では、今後3〜5年間で、AIチップ市場は数十億ドル(数千億円)規模になり、競争も激しくなるという。

AIチップはビットメインの欠点を補うための業務だ。同社が2018年に公表した香港上場のための目論見書によれば、2017年の売上高は25億ドル(約2800億円)で、その95%以上をマイニング専用機が占め、業界内では「一本足打法」と呼ばれていた。マイニング専用機は世界シェア74.5%を誇るが、ビットコインの相場の乱高下の影響で、売り上げは不安定になり、そのことがIPOに失敗した要因となった。

その後、ビットメインは組織再編を行った。共同創業者の呉忌寒氏と詹克団氏はCEOから離任し、プロダクトディレクターの王海超氏がCEOに就任した。呉忌寒氏は新会社Matrixを立ち上げ、デジタルアセットの取引を中心に業務を展開している。ビットメインは今まで通り、製品開発と製造、販売に注力する。

ビットコインの相場は2019年に1万ドル(約110万円)以上に戻り、ビットメインのマイニング専用機の販売が回復するのは間違いない。それにより、AIチップの開発にさらに余力ができ、業務構造の改善につながる。しかし、変化のプロセスはやはり時間のかかるものになるだろう。
(翻訳:小六)

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