アリババ、物流大手「百世集団」に非公開化提案 東南アジア越境EC事業の強化図る

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中国物流大手「百世集団(BestGroup)」は今月6日、創業者の周韶寧会長兼CEOから3日付で提出された拘束力のない非公開化の予備的提案書を受理したと発表した。

周CEOおよび同社のチーフストラテジストGeorge Chow氏、アリババグループ傘下の投資企業や物流サービスの菜鳥網絡(Cainiao Network)などがグループを結成し、受益権を持たない発行済み普通株式を買い取るとみられる。買取り価格は普通株式1株あたり0.144ドル(約21.7円)、もしくは米国預託株式(ADS)1株あたり2.88ドル(約434.6円)になる。

この提案が公表されると、百世集団の株価は時間外取引で10%以上上昇した。

百世集団は2007年に設立され、17年に米ニューヨーク証券取引所に上場した。これまでに調達した資金の総額は4億5000万ドル(約680億円)で、中国や東南アジアで小口輸送やサプライチェーン管理、国際物流などの物流サービスを手掛けている。

同社の宅配部門「百世快逓(Best Express)」は、「通達」系と称される物流大手の中通快逓(ZTO Express)、圓通快逓(YTO Express)、申通快逓(STO Express)、韻達快逓(Yunda Express)と肩を並べ、宅配企業の中では大規模といえる。

中国の宅配業界ではし烈な競争が繰り広げられ、終わりの見えない価格競争が続いている。通達系の宅配企業にはアリババのバックアップがあり、順豊(SFエクスプレス)は高い収益力を持つが、百世集団には支援もなく、赤字が続いた結果、身売りせざるを得なくなった。同社の赤字は2021年までの7年間で149億元(約3000億円)に上った。

百世集団は2021年、国内の宅配事業を当時急速に拡大していたインドネシアの宅配大手「J&T Express(極兎速逓)」に68億元(約1400億円)で売却、サプライチェーンと国際物流事業だけが残った。

この2年間は主に国際物流事業に精力を注ぎ、個人向け事業から法人向け事業への業態転換を図った。

2019年から東南アジアにも事業を拡大し、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、カンボジアの5カ国で宅配ネットワークを作り上げた。中国と東南アジア諸国間の越境物流ネットワークの構築も進め、国内の集荷作業から通関業務、ラストワンマイルの配送までを一貫して提供するワンストップ越境物流サービスの最短ルートを構築した。

2022年7-9月期には宅配事業は7カ国に広がり、東南アジアに直営の貨物中継基地を30カ所、集配所を1480カ所以上展開、海外倉庫の広さは4万4000平方キロになった。東南アジアの物流インフラが成熟するのに伴い、23年1-3月期の売上高は1億9700万元(約40億円)となった。東南アジアでの貨物取り扱い量は2700万件、越境業務は前四半期から60%増加し、東南アジアの中小企業ユーザーも前年同期から15%増えた。

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報道によると百世集団はこのほど、バイトダンス(字節跳動)の運営するショート動画プラットフォームTikTokが東南アジアで手掛けるEC事業に関連して、ベトナム、タイ、マレーシアの3カ国の事業で提携した。百世集団のマレーシア子会社がTikTokに出品する業者に対し、集荷、仕分け、配送などのサービスを提供するという。

アリババは東南アジアの越境ECに力を入れている。瞬く間にレッドオーシャンとなった東南アジア市場のテコ入れとして、東南アジア最大級のECプラットフォーム「Lazada」に対し、今年7月にも8億4000万ドル(約1270億円)を追加出資した。海外のEC企業が発展するには現地の物流業者との信頼関係の構築が必要だが、東南アジアの物流網はJ&Tなどの現地企業に独占されている。傘下の菜鳥網絡は欧米を主戦場とし、複雑で競争が激しい東南アジアにはそれほど力を入れていない。

アリババにとって自前で物流網を構築するには時間も費用もかかり、最適なタイミングを逃してしまうことになりかねない。現地で成功している物流企業を手に入れるのが近道ということだろう。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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