「拼多多」に迫れるか? 京東が共同購入アプリ「京喜」で逆襲へ

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EC大手の京東(JD.com)がついにソーシャルコマースに本気に取り組み始めた。

ソーシャルメディアを通じて多くの人と共同購入すると商品の価格が安くなる「拼購」と呼ばれるサービス形態が、近年中国で大きく注目されている。ソーシャルコマースを代表する「拼多多(Pinduoduo)」は、この共同購入サービスで大成功し、EC2強のアリババと京東を脅かすほどの勢いで成長している。

そんな中、京東も今年になってようやく共同購入サービスを強化し始めた。先日、専用アプリ「京東拼購」を「京喜」に名称変更し、プラットフォームを全面的にリニューアルした。これが拼多多に対抗するための一手であることは明らかだ。新アプリ「京喜」の取扱商品やサービスは、京東らしさが随所に見られる一方で、拼多多に類似する点も多く、京喜は京東版「拼多多」とも囁かれている。

京喜と拼多多は瓜二つ?

京喜を開くと、トップ画面に「京東購物」、「送料込みで9.9元(約150円)」、「工場直売」といったECメニューが並んでいる。そのほか、「1元(約15円)まで値切る」、「ペットを飼う」といったソーシャルメディア系のメニューもある。これらのサービスにはユーザーのアクションに応じてポイントを付与し、リピーターを増やす狙いがある。

京喜アプリのトップ画面
拼多多アプリのトップ画面

メニューの1つである「1元福利」は、1元(約15円)でくじを引いてアップルのUSBケーブルや10パックのティッシュなど日常用品の景品が当たるサービスだが、これは拼多多のアプリの「1分抽大奨(2円の宝くじ」というサービスと酷似している。しかし拼多多のくじは当選率が低く、顧客の目を引くためのツールに過ぎないと言われているのに比べ、「1元福利」には実利がある。

注目に値すべき点は、携帯電話料金のチャージにも「共同購入」による割引が適用されるというサービスだ。例えば2人でチャージすると、割引が適用され、本来料金50元(約750円)分の通話が43.95元(約659円)で買えるという。このサービスが継続されれば、京喜が多くのユーザーを引き付けることは間違いない。

アプリ画面からも分かるように、京喜と拼多多のコンテンツは基本的に同じだ。つまり、消費者の立場から言えば、これまで拼多多を利用しているならば、京喜のアプリも何の抵抗もなく使えるということになる。

京喜は「工場直売」で差別化を図る

ソーシャルコマース事業における差別化を目指す京東にとって、目玉の一つが「工場直売」というサービスである。

京喜の前身である「京東拼購」は今年5月に、「工場直送優良品計画」を開始している。これは専門的な検査を通過し、京東に認定された工場のみから商品を直接調達するというサービスで、価格を低く抑えるだけでなく、商品の品質も保証することができる。

拼多多の売りが「低価格で高品質」であるとすれば、京喜の売りは「高品質で低価格」である。似たような言い方にも思えるが、京東はソーシャルコマースに参入すると発表して以来、「商品の質は必ず保証する」と言い続けてきた。京東がソーシャルコマース参入に予想以上に慎重だったのは、これまでECモールで築き上げてきた消費者との信頼と評判が損なわれる恐れがあったからだ。

京喜が拼多多に対抗するためには、ECモール「京東商城」とは異なるサプライチェーンの構築が極めて重要となる。この1年間、何度もソーシャルコマース分野の店舗招致イベントを開催し、出店店舗への様々な優待サービスを打ち出してきた京東は、引き続き「高品質で低価格」の品揃えを充実させていく必要がある。

こうした動きが拼多多にとって大きなプレッシャーとなっていることは言うまでもない。京東がECモール「京東商城」と共同購入「京喜」という2つのプラットフォームでターゲット顧客を地方都市や農村部の低所得層へ広げようとする中、主に低所得層をターゲットとした拼多多は一級、二級都市の顧客獲得に向けて戦略的に施策を打たざるを得ない。とはいえ、拼多多の前には京東だけでなく天猫(Tmall)等の巨大EC企業も立ちはだかっており、勢力拡大は決して容易ではない。

今後も中国のソーシャルコマース市場から目が離せない。
(翻訳・桃紅柳緑)

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