36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
法律面でのサポートを必要とする多くの人にとって、弁護士事務所の「法律相談」はかなりハードルが高い。一般的に法律相談は有料だが、多くの人はこの出費を渋る。一方、弁護士にとっての法律相談は、顧客との信頼関係を築き、その後の依頼につなげる重要な足がかりとなるが、弁護士もこの費用を負担したがらないため、なかなか案件獲得には至らない。
このような状況を受け、法律分野のAIアシスタントを手がける「InssentAI」が2023年に立ち上げられた。法律分野で活用できるテクノロジーを研究し、AIや大規模言語モデル(LLM)を取り入れて、弁護士業界の集客効率を高めることを目指している。
InssentAIの呉世傑CEOは「弁護士向けに効果的な集客支援ツールを提供している。無料の法律相談を行うAIアシスタントが顧客の簡単なトラブルを解決し、弁護士が対応する必要のある複雑な問題の場合は、AIアシスタントが弁護士に連絡するよう促すことで依頼につなげる」と説明する。同社のサービスは弁護士の集客にフォーカスしたもので、一般消費者はウェブサイトやWeChat(微信)のミニプログラムなどから手軽に利用できる。
法律サービスにAIを導入することで、さまざまな業務をAIに任せられるようになるが、弁護士本来の仕事が大きく変わることはないと呉CEOは語る。
AIに弁護士並みの専門性を持たせ、弁護士に代わって顧客のトラブルを解決できるようにするには、実際の案件処理のデータなど高品質の法律データを大量に使ってAIを訓練する必要がある。法曹界には大量の裁判資料があるとはいえ、引用されている法律が最新のものとは限らず、そもそも非公開の裁判も多い。また裁判に至らずに解決する問題も多いため、判例から解決策を導けるとは限らない。
人口の多い中国では、法律サービスを必要とする人の絶対数も多い。現在、中国の弁護士は67万人余りだが、中国司法部は2030年までに弁護士を100万人に増やす計画だという。現段階で、法律サービス市場は弁護士の供給が追いついていない状況だが、大部分の人がAIではなく弁護士に直接相談することを望んでおり、複雑な法律問題ではとくに弁護士の力を必要としている。こうした現状がInssentAIにビジネスの可能性をもたらしている。
InssentAIはサービスを開始したばかりで、目下ビジネスモデルの改善を進めているところだ。収益源は主に3つある。まず、月額125元(約2600円)のサブスクリプション費用で、これには利用期間に応じた割引もある。次に、InssentAIの公式アカウントで顧客と弁護士をつないだ際の紹介料で、依頼に至った場合は弁護士費用の20~50%を手数料として受け取る。さらに、同社のサービスを組み込んだスマートデバイスも販売している。
「InssentAIは『オンライン弁護士プラットフォーム』や『バーチャル法律事務所』を目指している。さまざまな分野のAIアシスタントがフロントに立ち、弁護士が後ろに控えるという方式で、潜在顧客の法律問題を解決していく。一般的なオンライン法律相談プラットフォームとは異なる位置づけだ。弁護士に直接案件を割り振るというより、弁護士の集客をサポートし、依頼につなげるツールを提供することに重きを置いている」と呉CEOは述べている。
*2023年11月27日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録