時間の制約なく働ける「AI面接官」、中国企業が次々と導入 採用業務を効率化

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時間の制約なく働ける「AI面接官」、中国企業が次々と導入 採用業務を効率化

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人工知能(AI)を活用する人材採用ソリューション「海納(Hina)」を運営する中国企業「群星閃耀科技」がこのほど、シリーズAでレノボ・キャピタル(聯想創投)から数千万元(数億~十数億円)を調達した。資金は人材採用、機械学習モデルの研究開発、マーケティングシステムの構築に充てられる。

海納は人材採用分野のAIプロダクトとして、2019年という早い時期にリリースされた。AIを活用した面接サービスを提供し、AI技術によって企業の人材採用を支援する。創業者の梁公軍CEOによると、米OpenAIの対話型生成AI「ChatGPT」が登場し「AI2.0」時代が幕を開けたことによって市場が急成長し、さまざまな業界の企業がAIの重要性を認識するようになった。この流れで海納は顧客開拓にそれほど労力をかけずに、事業を急速に拡大できたという。

実際にAI面接は効率が良く、労働集約型企業の大規模な人材採用になじみやすいため、ブルーカラーの採用に導入されるようになった。また、学校での採用活動もAI面接の大きな活用シーンだ。多くの企業は短期間に大勢の学生と面接する必要があるため、AI面接を使えば採用担当者のコスト削減と効率化につながる。

従来の面接には大きな問題点がいくつもある。まず、人材採用のほとんどを社内のマンパワーに頼るため、時間がかかり効率が低い。次に、企業の各支社にある人事部門には人材評価の統一基準がなく、候補者の評価が主観的になりがちで、それによって各支社で採用する人材の質にばらつきが生じる点だ。

海納のAI面接官(デジタルヒューマン)は24時間365日、自動で候補者と面接を進められる。人事部門の代わりに会社紹介や質問を行い、候補者はそれに対してスマートフォンで回答動画を作成するだけでよく、時間と労力の節約につながる。面接が終わると、AIが自動的に候補者を採点し、企業側はバックグラウンドで全候補者の面接結果を確認できる。さらにAI面接は数十万人の面接を同時に進めることも可能で、採用サイクルは最小限に短縮される。

海納の操作画面

AI面接サービスを提供するプロバイダーは少なくない。梁CEOは、類似プロダクトに比べ、人材モデルの正確さが海納の特長だと考えている。ある顧客が海納を導入した際、数百グループの候補者についてAIと社内人事部門の採点を比較したところ、その精度は97.76%に達したという。

この高い精度を支えているのはAI技術と膨大かつ良質な業界データだ。海納はこれまで、画像認識・映像分析、音声認識分析、自然言語処理(NLP)などのAI技術を使って、人材を7つの能力と200以上の項目に分解し、それぞれをAIによって定量評価した。今年2月にはオープンソースの大規模言語モデル(LLM)をベースに、1億以上の面接関連データと専門家の知識を使って、面接に適した業界特化型大規模言語モデルをトレーニングした。

また、海納は5年をかけて職種ごとの標準作業手順書(SOP)を作り上げた。顧客企業への業務ヒアリングなどを通じて、外見、健康状態、心理状態、表現力、一般教養、専門スキルなどさまざまな要素を基に企業の人材モデル作成を支援する。人材モデルは職種によって異なる。そして面接では、AIが人材モデルに基づいて候補者を選別した後に面接評価レポートを作成する。ある顧客企業では候補者の入社後も海納が業務パフォーマンスデータなどを追跡し、それを人材モデルにフィードバックすることで、評価システムの改善につなげている。蓄積されるサンプルデータが多いほど、機械学習モデルの精度は上がる。

梁CEOによると、海納の強みは「業界トップの顧客企業の数と面接量が最も多い」ことだ。これまでに物流の順豊控股(SFホールディング)、小売りのウォルマート、自動車メーカーの吉利(Geely)、通信機器の中興通訊(ZTE)、コングロマリットの万達(Wanda)など業界トップ3に入る数十社の企業で700万人以上の面接に対応してきた。また、大企業だけでなく、各業界の中小企業もターゲット顧客としている。

海納の人材モデルは業界の人材基準を確立するだけでなく、技能訓練や資格試験など職業訓練の発展も後押しする可能性がある。海納は将来的に1000の職種に関する人材モデルを作り、人材訓練と採用を一体化したプラットフォームの構築を目指している。

*2023年12月11日のレート(1元=約20円)で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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