新型の民泊予約サイト「如程」、コストコモデルでLuckin Coffeeレベルの成長速度を目指す

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ編集部お勧め記事注目記事

新型の民泊予約サイト「如程」、コストコモデルでLuckin Coffeeレベルの成長速度を目指す

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

遊休資産をいかに活用するかーーこれは2019年の投資におけるホットワードの一つだ。

遊休資産を活用する各種のビジネスモデルのなかで、民泊を活用する「如程(rutrip)」が注目されている。

如程はライフスタイル型事業のクラウドファンディングを手掛ける「開始吧(Kaishiba)」が2019年5月にインキュベートしたサービスで、設立から4ヶ月しか経っていないが、この業界においてユニコーン企業に成長する可能性が最も大きい事業と思われる。

如程と提携する民泊

コストコのような会員制

現在、中国の民泊には空室率が高いという課題があり、如程はコストコのような会員制により課題を解決しようとしている。

具体的な宿泊プロセスはこうだ。如程は空室率の高い民泊を一括契約し、自社サイトで会員向けに紹介する。会員は年会費880元(約13000円)を支払えば、サイトにある民泊を何度でも予約できる。一回あたり2連泊までで、チェックアウト後に次の予約が可能になる。

如程が契約しているのは、OTA(オンライン旅行代理店)での宿泊価格が600-800元(約9000~12000円)で、ランクが4つ星以上に相当し、且つ稼働率が30%以下のリゾート型民泊だ。稼働率が低いため、年間契約なら非常に安い単価で契約できる。

民泊の経営者からすれば、1年間の収入を一度に確保できるため、集客に悩むことなく、サービスに専念できるという利点がある。また、宿泊以外のサービスで売上高を増やすことも可能だ。現在、この条件を満たす民泊は約2~3万軒あるという。

利用者からすれば、極めて高いコストパフォーマンスが魅力だ。如程の会員になれば、1回の宿泊が年会費分に相当し、その後は利用すればするほど、得になる。

如程はサービス開始後3カ月のデータを取り、会員制の効果を確認した。会員の80%が民泊を利用したことのない新規ユーザーで、ほぼすべての会員が3カ月以内に宿泊した。それに対し、通常のOTAでは会員の利用率が25%しかない。

如程と提携する民泊

如程の収益モデルと強み

このビジネスモデルが持続できるかどうかは、如程がどのように利益を得るかにかかっている。

如程の主な収入源は年会費であり、主なコストは民泊を契約するための調達コストだ。そのため、会員数を増やし、契約単価を下げ、供給できる部屋数を増やすことが重要となる。

今年5月27日にサービスを開始した如程は、9月17日までの時点で、全国15の省、49の都市の計174軒のリゾート型民泊専用施設を提供している。年間の販売可能室数は54万以上だ。

如程の目標は、2020年の内に民泊3000軒、会員数200-300万を達成することだ。36Krの試算では、この数値目標を達成できれば、年会費収入と調達コストがほぼ見合うことになる。

如程をインキュベートした開始吧のCEO徐建軍氏は、民泊を入り口とし、今後多様な消費を提供していくことも考えている。

現在、如程のアプリのユーザーは、1日平均10分以上使用しており、これは読書アプリでも難しい高水準だ。そのため、今後は観光、レジャー、エンターテイメントにトラフィックを提供することが可能だ。

また、競合と比較すると、如程は施設と会員のマッチングのアルゴリズム、民泊業界に対する理解度、当該業種に専門知識を持つ人材などの面で強みを持つ。

如程と提携する民泊
如程と提携する民泊

18ヶ月以内に米国上場か

如程の今後の展開について、開始吧CEOの徐建軍氏は、luckin Coffeeのように、18ヶ月以内に米国上場を果たしたいと語る。

そのためには、現在の2倍の速さで契約施設を増やす必要がある。また、如程にはほかにも解決しなければならない課題がある。

まず、宿泊サービスの提供そのものだ。如程では料金を先払いしてから、どこに宿泊するかを決めるため、通常の宿泊予約サイトと順番が逆になる。また、少なくとも2週間前に予約しなければならないという規定があるため、顧客体験をいかを上げるかが課題となる。

その対策として、運営チームは利用者に事前予約の習慣をつけてもらうよう誘導し、期限までに少なくとも1回利用するよう様々なインセンティブを提供するという。現在の統計によれば、4泊以上を利用すれば、そのユーザーの契約更新率が高くなることがわかっている。

次に政策リスクだ。現在中国にはまだ国家レベルの民泊管理規定がなく、この点では政策リスクがつきまとう。

しかし、「郷村(農村)振興」は中国の国家戦略であり、農村部の民泊は小規模の施設が中心で、経営者が地方政府とともに如程と契約している施設も多い。法的位置づけの不明確さが課題ではあるが、大量な契約不履行が起きるリスクは小さいと言える。現地政府と連携が取れれば、如程がプラットフォームとして民泊の健全な成長を促すことも可能だろう。
(翻訳:小六)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録