クルマの「頭脳」に注力、オートワイパーECU開発の中国メーカーがスマートEVの台頭で急成長

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クルマの「頭脳」に注力、オートワイパーECU開発の中国メーカーがスマートEVの台頭で急成長

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自動車の電子制御ユニット(ECU)を開発する「禹点科技(Yudian Technology)」がシリーズAで数千万元(数億円超)を調達した。杉杉創投(Shanshan Venture Capital)、潯商創投(Xunshang Venture Capital )、匯通達網絡(Huitongda Network)が共同で出資した。

禹点科技は2017年設立。創業者の房軍CEOは、自動車部品最大手・デンソーの中国法人電機開発部で上級管理職を務めた経験があり、カーエレクトロニクスの分野で10年余りのキャリアを持つ。同社はオートワイパーECUから始め、製品ラインを車体、シャシー、動力という自動車の三大分野で使用されるスマートアクチュエーター向けECUへと広げてきた。製品は中国の比亜迪(BYD)、吉利汽車(Geely)、小鵬汽車(Xpeng)を含む国内外の自動車大手の数十車種に導入され、量産を実現している。

電気システムを制御するECUは、自動車の頭脳に例えられる重要な部分だ。業界データによると、自動車1台に搭載されるECUは数十個から数百個に上る。目下、車載用ECU市場の勢力図は安定しており、ボッシュやデンソー、コンチネンタル、アプティブなど世界的な大手サプライヤーが大きなシェアを占めている。中国サプライヤーが少しずつ市場に食い込んできたのはここ数年のことだ。ECUは種類や分野によって技術的な難易度が異なるため、中国メーカーが市場に参入するペースもそれぞれに差がある。

禹点科技はまず、高い技術水準が求められるオートワイパーECUにアプローチした。同社はオートワイパーECUの量産に成功した最初の中国メーカーだ。

房CEOは、オートワイパーECUアルゴリズムの難易度が高い理由として次の2つを挙げた。1つはワイパーのコンディションが雨量や車速、気温などによって何千通りにも変化し、非常に複雑なこと。もう1つは機械システムに適合させるのに高いレベルが要求されることだ。

さらにオートワイパーECUをプラットフォーム化するにも困難が伴う。ワイパーの機械システムは基本的に車種ごとに設計するが、ソフトウエアはあらゆるタイプの機械システムに対応できるようにしなければならない。自動車メーカーによってそれぞれ異なるソフトウエア・アーキテクチャーにも対応する必要がある。

禹点科技は2017年に最初のワイパーECUを開発し、18年に量産を始めた。数年にわたってアップデートを繰り返した結果、同社のワイパーECUは23年の出荷個数が30万個ほどになると見込まれ、24年には2倍近くに増えると予想されている。

全く新しいECUを開発して量産を実現するには、自動車メーカーとテストや検証を重ねる必要がある。オートワイパーECUのような製品では国産メーカーがシェアを奪うのは簡単なことではない。

ワイパーは安全に関わる部品であり、ドライバーの面前にあって不具合が目につきやすいため、自動車メーカーはサプライヤーを変えるのに慎重なのだと、房CEOは話す。サプライチェーンを変える場合、通常は小型モデルへの導入や大型モデルのサブサプライヤーとして、まず1000台、そして2000台、5000台と段階的に検証を進めていくという。

ここ数年、スマートEV産業の台頭に伴って、中国のサプライヤーもシェア拡大のチャンスを迎えている。禹点科技もこのチャンスをつかみ、スマートアクチュエーター向けECU分野のリーディングカンパニーとなることを目指している。

(翻訳・畠中裕子)

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