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中国の大学生向けSNS市場を、先駆者と追随者たちが走り続けている。
中国のSNS黎明期に大学内SNSとしてスタートした「「人人網(renren.com)」が表舞台から姿を消した今、数々の大企業が大学生向けSNS市場で動きを見せ始めている。今年9月にはアリババが「Real如我」を、中国EC大手「京東集団(JD.com)」傘下の「京東数科 (JD Digits)」は自社開発の「梨喔喔」を、それぞれリリースした。
「バイトダンス(字節跳動)」も同月、大学生向けSNS「Biu校園」を買収。もともとは同社の傘下企業が創設した大学生向けSNSだが、運営が思わしくないためサービスを停止し、1年前からアプリの更新をストップしていたものだ。内部プロジェクトのインキュベートに失敗したバイトダンスは、外部の創業者に狙いを定めていた。
バイトダンスは2018年11月、大学生向けBBSと位置付けられる「Summer」に数百万ドル(数億円)を出資した。BBSという昔懐かしい言葉には、かつて流行した学内BBSや人人網へのオマージュが込められている。とはいえ、PC端末時代のBBSが「なんでも雑談」に重点を置いていたのに対し、Summer創設以来のコンセプトは「友達作りと恋人探し」だ。
Summerを創設した王栄山氏は北京大学在学中、同大学の男女比が1:1であるにも関わらず大部分の学生に恋人がいない理由に気付いた。学生たちは所属学科という小さな輪の中だけで過ごしており、出会いの可能性が極めて限定されていたのだ。理系学科が多い清華大学のように男女比が不均衡な大学で恋愛するのは、さらに難しい。これに気付いた王氏の心には、SNSを作ることで大学生が学校の垣根を越え、シングルを脱出できるよう支援したいという思いが芽生え始めた。
王氏はSummer創設以前、別分野の事業を手がけていた。北京大学在学中の2012年には、同校の学生を対象にしたO2Oプラットフォーム「北大早市網」を創設している。これは果物をオンライン予約しておくと翌日に店頭受け取りができるサービスだった。大学卒業後の2014年には「許鮮網(xuxian.com)」へと名称変更し、パートナーと共に事業範囲を大きく広げ、複数回の資金調達を果たした。しかし、王氏は卒業後半年ほどで、経験不足による事業からの撤退を余儀なくされた。
王氏の脳裏から大学生向けSNSを創設したいとの思いが消えたことはなく、2017年7月にはSummerを無事リリースした。
Summer が最初の製品で検討した課題は次の二つだった。
1.いかにして各大学で異なる男女比のバランスを取るか。
2.いかにして男女間の相互コミュニケーションに気配りし、出会いの効率を高めるか。
これに対して、Summerが提示した解決策は次の二つだ。
1.「実名認証+在籍校認証+スタッフによる審査」により、登録ユーザーが本物の大学生であることを保証。ユーザーは「近くにいる人」や同窓生を見つけられるだけでなく、他校の大学のユーザーも検索できるようにした。
2.「友達」に追加して実際に会話するためには、相手が提示する「テスト」に合格しなければならない。設問は各ユーザーが個人的基準で任意に作成できる。このワンステップによって交流のハードルを高め、ひやかしなどの無駄な混乱を減らした。
Summerは当初、登録者の在学校を清華大学と北京大学だけに限定し、2カ月間で登録者を7000人に伸ばした。その後1年間で、全国の名門大学に対象を拡大した。
Summerはすでに全国の大学に開放されているが、ユーザーの登録基準は変えていない。例えば学歴認証を行わない場合は、単なる訪問者として情報を閲覧することしかできない。
トップページに表示される「近くにいる人」では、位置情報や学校・学歴情報、年齢などの指標に基づいて友だちが推薦されると同時に、ユーザーが任意の他大学に遊びに行くこともできる。かつての人人網ユーザーが各大学の人気者を検索した過程とよく似ている。また、SummerのBBS的性質は「黒板」(掲示板)として現れており、ユーザーは匿名または実名での投稿が可能で、一つの話題を巡って討論できる。
王氏は、学歴は今のところユーザー層を区分するのに最適な指標だと考えている。誰もが自分と釣り合う相手を素早く見つけたいと思う中、学歴は重要かつ分かりやすい指標の一つとなるだからだ。
Summerの登録ユーザーは現在、累計200万人を超えている。認証済ユーザーは80万、1日あたりのアクティブユーザー数は7万人以上で、翌日継続率は80%、30日後継続率は25%に上る。このうち清華大学と北京大学のユーザー数は2万4000人で、両校での普及率は30%以上に達している。
(翻訳・田村広子)
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