次世代の車、「乗り心地」で勝負。インテリジェント・サスペンション開発企業に脚光

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次世代の車、「乗り心地」で勝負。インテリジェント・サスペンション開発企業に脚光

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自動車のサスペンション・ソリューションを手がける中国スタートアップ企業「博思汽車科技(BISTEC)」が、シードラウンドで無錫創新創業種子投資基金から数百万元(数千万~1億数千万円)を調達した。

2021年に設立された博思汽車は、自動車のシャーシを構成するサスペンションに弾力を持たせるエアスプリング(空気ばね)と減衰力を持たせるダンパー、そのインテリジェントな制御ソリューションを手がけ、アフターマーケットおよび純正品市場向けに高性能な電子制御サスペンション・ソリューションを提供している。

近年は自動車の乗り心地に対する要求が高まり、運転中に発生する振動が自動車の快適性と安定性に影響を及ぼす大きな要因となっている。「インテリジェント化、電動化、ネットワーク化、軽量化」という4つの新たな自動車製造コンセプトのもと、インテリジェント・シャーシの開発にも大きな余地を生み出した。

博思汽車の共同創業者・王臻氏は、将来的に自動運転の急速な普及と「スマートコックピット」の広がりによって、十分な乗り心地と快適性を提供するインテリジェントなシャーシが重要になると考えた。新エネルギー車にとって、動力性能が製品力を区別する主要指標ではなくなり、インテリジェント・サスペンションが差別化を図る新しいポイントとなる見通しだ。

サスペンションは主に4種類ある。1つ目のパッシブサスペンションはほとんどの現行車種に搭載されている。2つ目はコンフォート、スポーツという2つの走行モードを持つデュアルモードサスペンションで、電気信号を通じたオイルラインの切り替えによって制御される。3つ目は電子制御式のアクティブサスペンションで、同社が開発したADC(アクティブ・ダンピング・コントロール)ソリューションは、インテリジェントでアクティブかつ連続的な減衰制御を可能にする。4つ目のフルアクティブサスペンションは現時点で少数の高級車にしか搭載されておらず、量産に至っていないが、同社が将来的に目指す分野でもある。

同社のADCソリューションは独自開発のアルゴリズムをベースとしており、ユーザーは車載用コンピューターまたはコントロールパネルから走行モードを選択できる。ECU(電子制御ユニット)がセンサーとCAN通信で路面状況を判断し、それをユーザーの選択した走行モードと組み合わせ、サスペンションの高さをダイナミックに調整しながら最適な減衰プランを策定することで、運転の安定性と快適性のバランスをとる。

ADCソリューションは組み合わせによって3種類の製品となる。一般的なコイルスプリングとの組み合わせはコストが低いため、将来的には10万元(約200万円)クラスの車種に搭載される見通しだ。エアスプリングと組み合わせれば硬さや高さの調整が可能なエアサスペンションとなる。これは現在の新興自動車メーカーが総じて選択しているやり方だ。磁性流体との組み合わせでは、応答が速く調整幅が大きくなるのが特長だ。さらに、ADCソリューションは従来の乗用車だけでなく、ATV(全地形型車両)、UTV(多目的車両)、バイクなどにも対応できる。

博思汽車は現在、純正品、アフターマーケット、レース用ダンパーなどのメーカー6社と戦略提携を結んでおり、プロトタイプの引き渡しも終えている。長城汽車(GWM)のスマート高級オフロードSUV「Tank 300」をベースとするプロトタイプはADC電子制御ショックアブソーバーを搭載した世界初の車種として、昨年に走行試験を終えたという。同社の創業者・崔緒福氏によると、同社は春風動力(CFMOTO)の全地形型車両とバイクのプロジェクトに取り組むほか、アフターマーケット向けではテスラのModel 3とModel Y、メルセデス・ベンツのV-Class、ゼネラルモーターズのビュイックGL8などに対応している。

2023年はアフターマーケット向け製品に注力し、売上高が1500万元(約3億円)を超える見込み。25年には純正品市場向け製品を中心にして、アフターマーケット向け製品で補完する体制を目指すという。

*2024年1月10日のレート(1元=20円)で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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