ガラケー需要が世界で静かに再燃、その理由は意外と深い

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ガラケー需要が世界で静かに再燃、その理由は意外と深い

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スマートフォンが普及する前、携帯電話に通話かメールくらいしか用途のなかった時代に広く使われていた電話は、俗に「ガラケー」「ガラパゴス携帯」または「フィーチャーフォン」と呼ばれている。

2012年、携帯電話の出荷台数で世界首位だったノキアは、その王座をサムスンに明け渡した。ここからフィーチャーフォンの販売台数は急激に減少する。ノキアの出荷台数は2016年には2010年の10分の1にまで縮小し、わずか3500万台となった。同年、サムスンの出荷台数は約3億1000万台、アップルが2億2000万台、ファーウェイは1億2000万台に上っている。

フィーチャーフォンはすっかり過去の産物になったようにみえる。今どき、あえてフィーチャーフォンを使っている人はいるのだろうか?

意外なことに、フィーチャーフォンに関する調査結果は多くの人々の予想を覆している。TMT業界専門の調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチによると、2017年のフィーチャーフォン出荷台数は前年比5%増の4億5000万台で、2018年第3四半期には携帯電話の全世界出荷台数の23%をフィーチャーフォンが占めたという。

9月5日、独ベルリンで開催された欧州最大の家電見本市IFA 2019で、ノキアブランドを運営するHMD Globalはフィーチャーフォンの新機種「Nokia 2720 Flip」を発表した。中国市場では年内に700元(約1万円)で販売される予定で、4Gに対応するほか、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)、連続待ち受け時間は670時間、フェイスブックやグーグルマップをプリインストールしているという。つまり、一部スマートフォンの機能を有したフィーチャーフォン(ガラホ)だ。この発表に対して、ノキアファンに限らず、一般ユーザーからもこうした「ガラホがほしい」との反応が多くみられた。

中国版ツイッター「微博」に開設されたノキア公式アカウントより

誰からも忘れられたと思われていたこの市場に、グーグルなどの大企業が次々と目を留めている。フィーチャーフォンに食指を動かされるユーザーとはどのような人たちなのだろうか?

スマートフォンとフィーチャーフォンの出荷台数推移

初めての携帯電話がフィーチャーフォンだった世代にとっては、ノスタルジーという意味合いも多分にあるだろう。あるいはスマートフォンしか知らない若者は、常に情報の海にもまれることに疲れているのかもしれない。AIが自動変換してくれる文字入力に慣れ切って、キーボード入力のやり方さえおぼつかない場合もある。状況が許すのであれば、一種のファッションアイテムとしてフィーチャーフォンを持つのも悪くはない。

ファッションブランドとのコラボモデルや過去の人気モデルの復刻版は、フィーチャーフォン回帰の入り口となるだろう。ただし、フィーチャーフォン需要の裏には、いまだインターネットとの接続に縁がない人が世界に数十億人も存在するという事実もある。彼らにとっても、フィーチャーフォンは重要な存在意義があるのだ。

フィーチャーフォンの存在は理に適っている

フィーチャーフォンがいまだ数億台の出荷台数を維持している理由は、グローバル市場の成長の不均衡にある。

世界にはインターネットの通信インフラが完備した国もあれば、電子デバイスの充電すら共同電源に依存している国もある。後者にとっては、スマートフォンより長いフィーチャーフォンのバッテリー寿命は重要な要素だ。こうした国ではインターネット整備よりも、基本的な通信手段の確保がまず必要だ。世界銀行によると、アフリカでは約6億人が電力不足の状態に置かれているという。また、初めて携帯電話を使用するユーザーや高齢者にとっては、操作の簡単なフィーチャーフォンはありがたいものだ。無論、価格の安さはフィーチャーフォンを選択する最も重要な決め手になる。その平均価格はスマートフォンの1割ほどで、25ドル(約2700円)もあれば十分だ。

世界市場におけるスマートフォンの平均価格(画像提供:IDC)

スマートフォン同様にインターネット接続を前提とした「ガラホ」も、フィーチャーフォン人気にひと役買っている。

インドの通信事業者Reliance Jio Infocommが販売する「Jio Phone」はその代表格だ。フィーチャーフォンに特化したLinuxベースのOS「Kai OS」を搭載しているため、携帯電話の基本機能以外に、フェイスブックやツイッターなどのアプリも使える。価格は人民元に換算して157元(約2400円)相当だ。

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチの調べでは、インドの携帯電話市場は2018年第1四半期に前年同期比48%の成長を遂げたが、これはフィーチャーフォンに対する力強い需要がけん引した数字だ。その主役となったのがJio Phoneであり、同国のフィーチャーフォン市場で35.9%のシェアを握っている。販売元のReliance Jio Infocommは、1500億ドル(約16兆円)を投じてインド国内で4Gネットワークを建設した当事者だ。これまで2G止まりだった多くのユーザーにとって、同社が提供する廉価な4G利用プランは大きな魅力となっている。

インドではJio Phoneが勝ち組となったが、アフリカで覇権を握るのは中国企業の「TRANSSION(伝音科技)」だ。

TRANSSIONは2008年、国内市場から完全撤退し、アフリカを中心とした海外市場に照準を絞った企業だ。

世界銀行の2017年のデータによると、アフリカにおけるスマートフォンの普及率は約28%にとどまる。一方、フィーチャーフォン市場はTRANSSIONの天下だ。同年上半期、TRANSSIONの携帯電話出荷台数は1億2000万台に達しており、フィーチャーフォンはスマートフォンの3倍も売れている。同社は2016~2018年、3年連続で出荷台数首位につけた。

その主因は価格の安さだ。同社の上場目論見書によると、同社製フィーチャーフォンの平均販売価格は65.95元(約1000円)で、世界相場を大幅に下回っている。現地化戦略やサプライチェーンの強化も功を奏し、競合メーカーにはないきめ細やかな機能も相まって人気を博している。例えば、肌の色が暗いアフリカ人が利用しても暗所で顔認識が機能するような配慮がなされている。

フィーチャーフォンの可能性が残されているもう一つの市場は日本だ。65歳以上の高齢者が人口の4分の1を占めている日本では、彼らの消費習慣をないがしろにするわけにはいかず、フィーチャーフォンを完全になくすことは不可能だ。また、日本の携帯電話が独自の発展を遂げてきた歴史もある。日本のフィーチャーフォンは早期からインターネット接続やNFC決済が可能だった。当時からすでに「ガラホ」の側面を持ち合わせていたため、スマートフォンの普及が遅れたほどだ。

また、中東では携帯電話市場が5四半期連続で縮小する一方で、フィーチャーフォンの出荷台数だけは、前期比0.9%増、前年同期比1.4%増とわずかながら伸びている。IT・通信関連専門の市場調査会社IDCがGCC(湾岸協力会議)諸国を対象に調査した結果でわかった。

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチの予想では、今後3年でフィーチャーフォンの販売台数は約3億7000万台に達する。同社のアナリストは「新興市場では少なくとも今後5年はフィーチャーフォンが大きな存在感をみせる」と述べている。ハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービス各社にとっては、280億ドル(約3兆円)規模の商機が眠っているということになる。

世界の大手テック企業はすでにこの市場に目をつけている。グーグルは昨年、前出のKai OSに2200万ドル(約24億円)を投資した。今後数年間、我々はフィーチャーフォンの静かなる復興を見ることになるかもしれない。
(翻訳・愛玉)

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