「ゲームを学問に」 テンセントがゲーム学科の創設も視野に

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ゲーム業界従事者を対象にした年次イベント「テンセントゲーム開発者会議(TGDC)」は、同社の「騰訊游戯学院(TENCENT INSTITUTE OF GAMES)」が主催し、業界経験を分かち合うためのオープンプラットフォーム構築を目的としている。今年は国内外の業界で活躍する多くの専門家が、最新の開発経験や世界の最新情報と技術を共有し、その内容はゲームの企画や技術、市場などの分野にまで及んだ。

騰訊游戯学院の夏琳院長はメディアに対して、ゲームの共有やゲームの価値、ゲーム教育、ゲーム開発チームへの支援などについて自身の見解を語った。

――過去2回のゲーム開発者会議では商品技術や市場に焦点が当てられ、今年はゲームの価値に関するサブフォーラムが追加されましたが、それにはどんな意図がありますか。社会的価値に関してこの2年間で市場に見られる変化をどう見ておられますか。

夏琳氏 「ゲームの価値に関するサブフォーラムは、騰訊游戯学院が企画したものだ。ゲームの研究やパートナーと協力して業務を行っていた時に思いついたものだ」

「中国社会では多くの学者や研究者、業界関係者がゲームの発展に大きな関心を抱いているが、彼らが情報や経験を共有したり、交流したりする機会があまり多くない。また昨年には、『子どもたちの成績低下はゲームに起因する』といった極端なニュースが報道され、ゲームに対する人々の見方に影響を及ぼした」

「これらは中国のゲーム業界に属する全ての企業にとって避けられない問題だ。一般社会、研究者、業界が総じてゲームへの考察を深めるべきだと考えている。例えばゲームの研究をどのように行えばよいのか、未成年者の保護や年齢制限、一日の適切なプレイ時間、どのゲームがどの年齢層の子どもにふさわしいかなどについて検討が求められており、そのための場所と機会が必要だと我々は感じている」

「そのために努力することは問題や困難に立ち向かう上で必要な姿勢だ。我々は政府と接触する機会があるが、政府も企業に対し、上記のような課題に取り組むことを期待している。それゆえ、今年はゲームの価値に関するサブフォーラムを追加開催した。それ以外に、我々はゲーム学の基礎理論や研究結果の蓄積にも注目しており、今後のサブフォーラムや研究でもこれらの点に引き続き光を当てていく」

――今年初めに北京大学のチームが発表した書籍「游戯学(ゲーム学)」は非常に幅広い内容を網羅していましたが、個々の内容を深く掘り下げている印象はありませんでした。今後のゲーム学の分野では具体的にどんなことを深く研究したいと思われますか。

夏琳氏 「まずゲーム学に注目していただいたことに感謝を申し上げたい。中国におけるゲームの歴史が30~40年に及ぶ中、学術的アプローチに注目する人は増える一方だ。しかし、例えば映画にはすでに約130年の歴史があるが、米国の大学は1930年代に映画学部を創設していた。当時、映画は誕生してからまだ40年前後だった。ゲームもすでに30年から40年の黄金時代を走り抜けてきた。そしてその間に蓄積したものを今後にどう生かすかを考えたいと思っている」

「『ゲーム学』はご指摘の通り、より細かい分類や研究が必要な箇所が少なくない。この点について検討して分かったのは、ゲーム学について掘り下げた研究を行いたいのならば、その基礎となる学問の枠組みから考慮する必要があることだ。つまり学部生と修士生に教育を施すことを念頭に置いて、一学科としてどのように学科を成立させるのかということだ」

「テンセントにはこの分野での経験がない。経験豊富なのは大学だ。しかし、大学でもゲーム学関連の学科をどのように設けるべきかは分からないはずであり、あるいは彼らはゲーム自体を理解していないかもしれない。清華大学や北京大学の教諭陣と交流した時に知ったが、彼らの注意は青少年や子どもたちへの悪影響をどのように抑えるかに集中していた。その問題をベースに話を進めるとしたら、ゲーム学科設立に関する検討は壁にぶち当たることだろう」

「しかし、彼らとの継続的なコミュニケーションを経て、教師たちも徐々にゲーム学を受け入れた。我々が教師たちと話し合ううちに分かったのは、これらの教師たちの多くがゲーム愛好家またはアニメファンということだ。彼らはすでに年齢が高いが、今でもゲームが大好きということだ。彼らはゲームも一つの立派な学問であることを理解しつつある」

「現状の中国でこのような取り組みを進めるのは大きな挑戦だが、多くの大学教師がその挑戦に喜んで協力する意向を示しており、我々は彼らとともにゲーム学の発展に力を尽くすという非常に貴重な機会が得られた」

――ゲーム業界全体が目まぐるしく変化する中で、多様なシーンに応じた適切な支援を各企業に対して行えるでしょうか。例えば今年、ゲーム企業の海外進出が進む中で一部の企業はグローバル化の競争に飲み込まれそうになっています。そのような状況下で彼らをどのようにサポートできますか。

夏琳氏 「個別のシーンに応じた支援はこれまでも検討されてきたが、現在我々が重視しているのは、中小企業がまずゲームそのものを開発できるよう支援することだ」

「普段、当社の出資先も含む幾つもの中小企業と接触すると、彼らが自らのアイデアを実現する段階に来ていると感じることがある。ただ、それをどのように商品化するかという点で、まだ基本的な技術上の問題を抱えている。我々は彼らに対して手を取るように、何をどのように行うべきか教えなければならない」

「例えば、ユーザーの定着と流出の過程、体系化すべき事柄、ゲームに対するより科学的な観点、テスト後のデータの変遷やデータのパフォーマンスに対する評価法といった点は非常に基本的な事柄だ。当社は中小企業のゲーム開発者に対して成長の手助けをすることができる」

「当社にとっても海外市場は新たな分野であるため、教えられることも今はあまり多くないが、もし中小企業の開発チームがアイデアを積み重ねて優れた作品を開発し、当社の条件を満たし、当社をエージェントとして海外で売り出すことに同意するのであれば、我々としても喜んでこれらのチームと協力し、海外での成功をともに模索したいと思っている」
(翻訳・虎野)

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