リチウムイオン電池用接着剤の国産化進める中国企業、改良型製品でコストを大幅削減

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リチウムイオン電池用接着剤の国産化進める中国企業、改良型製品でコストを大幅削減

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リチウムイオン電池のバインダー(接着剤)を開発する「恵州普賽達新材料(Pustar)」(以下、普賽達)がこのほど、プレシリーズAで復星鋭正資本(Fosun RZ Capital)から1000万元(約2億円)以上を調達した。

普賽達は新エネルギー産業に向けて、環境にやさしく信頼性の高い接着ソリューションを提供することに注力し、顧客の必要に応じて電池パックや電池セル用のさまざまな接着剤を開発する。接着剤の分野で確かな専門技術を有しており、研究開発スタッフが従業員全体の40%以上を占めている。

同社は広東省恵州市と湖北省武漢市に研究開発センターを置き、接着剤の分野では業界をリードする実力を持つ。すでに品質マネジメントシステム認証のISO9001やISO/TS16949、環境マネジメントシステム認証のISO14001を取得しており、高い水準を求める顧客にも対応できる。

現時点では2つの製品ラインを展開している。1つは電池セル間の接着剤や熱伝導性接着剤などの電池パック用接着剤、もう1つは負極用・セパレーター用バインダー、分散剤などの電池セル内部に使用する接着剤だ。

負極用バインダーの分野では、主力製品の改良型第三世代SBR(スチレンブタジエンゴム)を生産している。SBRは最も広く利用されている水性バインダーで、リチウムイオン電池の負極バインダーの98%にSBRが採用されているとのデータもある。第一世代と第二世代のSBRは主に欧米企業や日韓企業が生産している。

同社の楊東方CEOによると、同社は分子設計、モノマー混合比、重合からアプローチして、多様なニーズに合わせた改良型の第三世代SBRを開発できる中国唯一のメーカーだという。製品はすでに大手電池メーカーへ大量納品されている。

第三世代SBRは低温性能とレート特性に優れており、デンドライト(樹枝状結晶)による内部の短絡を効果的に防いで、電池の安全性を向上させることができる。この第三世代SBRは、コスト面で日韓企業が生産する第二世代SBRに取って代われるだけの強みを持ち合わせているほか、高速混合に耐える性能を備え、スラリー(電極活物質やバインダーなどを混ぜ合わせたペースト)作成にかかる時間を短縮できる。そのため、電池メーカーは電池容量1ギガワット時当たり300万~500万元(約6000万~1億円)のコスト削減が見込めるという。

生産に関しては、危険化学品の生産・保管・輸送の資格を持ち、独自に設計した高効率自動生産ラインを保有している。2023年には第三世代SBRの年産が2万トンとなり、24年には第三世代・第四世代SBRを合わせた年産が5万トンに拡大する見込みとなっている。顧客のニーズに応じたオーダーメード開発では、5営業日以内にサンプルの納品が可能だという。

現段階では恵州市の拠点が主な生産を担っているが、楊CEOは、世界中の顧客のニーズに対応するため、華東地区や海外にも生産拠点を設ける計画を進めていると語った。

*2024年1月17日のレート(1元=約20円)で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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