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米アップルは1月19日午前5時(日本時間午後10時)、同社初のゴーグル型ヘッドマウントディスプレー(HMD)「Vision Pro(ビジョンプロ)」の販売予約を開始した。初回予約分は開始10分足らずで完売した。
そしてその頃、中国ではすでにVision Proのコピー品が出回っていた。広東省深圳市にある巨大な電気街「華強北」の店頭には現在、Vision Proのコピー品が「AppleCore」という商品名をつけて並んでいる。華強北は世界最大の電気街として知られるが、「中国のコピー品の聖地」という不名誉な呼び名もついている。
AppleCoreは一見すると本物そっくりだが、よく見れば粗雑なつくりと安っぽさが目立つ。本物のVision Proは3499ドル(約50万円)と高価だが、コピー品はとってもお手頃だ。コピー品を売る商店主は「国内の顧客には1台1600元(約3万4000円)で売るよ。輸出用なら500ドル(約7万4000円)だ」と言う。
ネット上に出回る情報では、Vision Proは材料費だけで1509ドル(約20万円)かかっている。一方、華強北で売られるAppleCoreの価格は、桁が1つ足りない。工場や販売業者の利益を考えれば、その製造費の安さは明らかだ。「Vision Proの外観を高度に模倣した筐体を作り、既存の製品にかぶせたに違いない」と業界関係者は推測する。
当たり前だが、コピー品を使ってみれば安さの理由が良く分かる。本物とは比べるまでもないが、競合他社の製品とも大きな差がある。実際にコピー品を試した人によると、ハードウエアもソフトウエアも、アップル以外の大手メーカーのゴーグル型HMDより著しく劣るという。しかし、華強北でコピー品を売る業者は、国内の個人ユーザーをターゲットにしているわけではない。「現在は小売の注文を受けていない。主に輸出にまわし、海外のブームに間に合わせるつもりだ」と語る。
結局、コピー商品を買っているのは誰なのか。販売業者たちも、はっきり分からないという。しかし、珍しいものや奇妙なものを紹介するインフルエンサーにとっては、500ドル払ってコピー商品を買うことも、フォロワー集めや閲覧かせぎの手段になるのだろう。
実際、Youtube上にはすでにAppleCoreを試す動画が数多く投稿され、人気を博している。登録者2500万人を誇るチャンネル「Unbox Therapy」による開封動画は、たった2日で視聴回数が64万回を超え、「いいね!ボタン」が2万8000回押された。
*2024年1月25日のレート(1元=約21円、1ドル=約148円)で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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