「提供するのは茶飲料でなくライフスタイルだ」、創業者が語る「奈雪の茶」が大ヒットした理由

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「提供するのは茶飲料でなくライフスタイルだ」、創業者が語る「奈雪の茶」が大ヒットした理由

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彭心氏が創業した茶飲料ブランド「奈雪の茶(NAYUKI)」は、今中国の若い女性の間で大ブームとなっている。「奈雪」というのは彭氏のハンドルネームであり、ブランド名の由来にもなっている。

1. バー、ポップアップショップ、ドリームファクトリー…「奈雪の茶」の位置づけは

今年2月、奈雪が手がけるバー「奈雪酒屋(nayuki’s Bla Bla Bar)」が深圳、北京に続けて登場し、若者の夜の社交シーンに切り込んだ。また昨年11月、同社は新型の店舗「奈雪的礼物(NAYUKI’S GIFT)」を福建省アモイにオープン。初めてクレーンゲームや口紅販売機などを設置したゲームエリアを導入したほか、AIと顔認証技術も取り入れた。

彭氏が明かしたところによると、将来的には「夢工場(ドリームファクトリー)」という新しい業態の店舗をオープンさせるという。流行りのものを集めたスタイルで、世界各地の美味しいものや面白いもの、ブランド関連商品や業界を越えたコラボ商品などを販売する予定だ。超一級都市の中心部に約1000平方メートルの店舗を設置するとし、600以上のSKUを揃える。現在、奈雪の通常店舗のSKUは70~80だ。

それだけでなく奈雪は人気ゲーム「王者栄耀(オナー・オブ・キングス)」や老舗菓子メーカー「旺旺」、自撮りアプリ大手「美図(Meitu)」などとも提携。インフルエンサーの林小宅氏と中秋節ギフトセットを発売したり、日本のアーティストPepe Shimada氏とコラボした「being a cat」シリーズのドリンクカップなどをリリースしている。

では奈雪は商品の全体的な方向性をどのように決めているのだろうか。

彭氏によると、奈雪の商品開発はこれからもずっと消費者をメインに行われる。利用者の80%は22~28歳に集中しているが、奈雪が実際にサービスを提供できる消費者はもっと幅広い。例えば40歳以上の消費者や男性だ。奈雪はこれらの層を対象にコアとなる商品を開発していくという。同時に業界を越えた試みを通して利用者とブランドとの関係を強化するという。

2. 急速な店舗拡大と従業員教育の両立

奈雪や「喜茶(HEYTEA)」に代表される新しいタイプの茶飲料市場は今年非常に大きなブームとなっており、両社とも全国に店舗を展開している。奈雪の現在の店舗数は240店前後だが、年末までには以前より計画していた400店を超えるだろうとしている。

チェーン網の拡大と切り離せないのが従業員の教育だ。店舗を新しくオープンするには相応の従業員数が必要だが、急速な店舗拡大の中、奈雪はどのようにして従業員を確保しているのか。

彭氏によると、奈雪は同業他社とは異なり非常に明確な人材育成計画があるという。新店舗は契約成立後、開店準備に少なくとも4~6カ月の時間を必要とする。店舗の設計や内装と同時に、開店3カ月前には従業員を集め、ドリンク作りの研修、テストなどを行う。店舗に多くの従業員がいるように見えてもその一部は研修中なのだという。しかし既存店舗にオープン前の店舗の従業員も配置することで人件費が高くなる。奈雪の従業員総数は1万2000人に達しており、「非常に多くの給料を払わなくてはならない」と同氏は語った。

しかし彭心氏によると、これは同社が必ず通らなければならない道だという。「奈雪が提供するのは一種のライフスタイルだからだ」と同氏は強調。将来においても同社はサービスと顧客体験を強化していくという。

3. コーヒーチェーンから考える茶飲料業界の標準化

茶飲料市場を語る際によく引き合いに出されるのがコーヒーだ。スターバックスが中国に進出して20年、すでに160以上の都市で4000店以上を開店しており、その地位は業界でも突出している。その他にも新興コーヒーブランド「luckin coffee」がここ数年急速に発展し、コーヒーベンチャーブームの勢いも茶飲料に負けていない。

その背景にはコーヒー豆の産出国や等級、コーヒーマシンのオートメーション化の程度や作り出されるコーヒーの風味の安定性など、コーヒー産業の標準化が相対的に進んでいることがある。

これらの強みは茶飲料業界にはないものだ。コーヒーと比べると茶飲料業界はまだ始まったばかり。奈雪も現在資金を投入してお茶を入れる機械等の自動設備の研究開発を行っているという。しかし、機械で入れたお茶を人間の手で入れたお茶とまったく同じレベルにまで持っていくのは難しいといい、更なる最適化が必要だという。

茶飲料市場はますます多くの企業が参入してきており、シェアを奪い合っている。彭氏によると消費者が選択をするとき、最も重視するのは「美味しいかどうか」「このブランドが好きかどうか」の二点だという。「良い商品を作ることができれば、ずっとトップでいられる」と彭氏は語った。
(翻訳・山口幸子)

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