手をかざすだけで瞬時に本人確認、偽造の心配もなし。注目の「手のひら静脈認証」技術、中国新興が開発

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手をかざすだけで瞬時に本人確認、偽造の心配もなし。注目の「手のひら静脈認証」技術、中国新興が開発

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顔認証や指紋認証などはすでに、スマートロックや決済など本人確認が必要な場面で幅広く導入されている。これらの生体認証技術は、従来の暗証番号やパスワード方式よりも安全性と利便性の点で優れているが、それでも依然として課題は残る。

指紋認証は指先の汚れや荒れなどが原因で認証に失敗することがあり、顔認証も化粧やメガネの有無などで認証が遅くなる場合がある。生体認証を手がける企業は、本人確認に利用できる人体の特徴を探り続けてきた。ここ2年は、新たに登場した静脈認証技術が注目を集めている。

2023年2月に設立されたスタートアップ「雲麒科技(Yunqi Technology)」は、手のひら静脈認証技術「Techvein」を独自に開発し、本人確認ソリューション用のデバイスとソフトウエアを提供している。現在は、手のひら静脈認証の大型複合機「Yシリーズ」とポータブル・卓上機「Qシリーズ」に加え、家庭用スマートロック「Sシリーズ」を展開している。同社は、人工知能(AI)による手のひら静脈識別の基盤となる画像データベースも構築した。

静脈認証ではデバイスに触れる必要はない。指を自然に開いて認証デバイスの上にかざすと、近赤外線が照射され、手のひらから反射した光をセンサーが検知する。これだけで、瞬時に本人確認ができる。手のひら静脈の個人的特徴は、極めて秘匿性が高い。肉眼で見ることができず複製できない。偽造や盗用も不可能だ。

雲麒科技は、ディープラーニングによる手のひら静脈認証技術「Techvein」、AIベースの手のひら静脈認証システム、静脈の特徴を抽出・識別するビッグデータ技術を三大コア技術としている。これらの技術を基に、同社は独自のAIアルゴリズムを開発し、1兆枚の画像をスマート分析できる演算力を獲得した。

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創業者の姫綺偉氏は「他のメーカーと違い、当社はセンサーの検知距離でも、さまざまな手のひらの向きや角度への対応でも大きな強みがある」と自信を示す。市場に出回る手のひら静脈認証デバイスは、検知距離が短いものだと3〜7センチまで手を近づける必要があるが、雲麒科技のデバイスは7〜20センチでも対応できる。他社のデバイスは手のひらの上下や遠近を識別できるだけだが、同社のデバイスならば手の開き方や向きにかかわらず、360度無死角での手のひら認証が可能だという。

手のひら静脈認証デバイスの活用シーン

雲麒科技の製品は、近く官公庁のサービス窓口にも導入されるという。同社は2024年に資金調達を実施する計画で、消費者向けの決済サービスのほか、スマート都市交通の分野を重点的に開拓する方針だという。

AI市場が急速に広がるのに伴い、生体認証技術の利用シーンも拡大している。米コンサルティング企業の​​フロスト&サリバンによると、中国の生体認証産業の市場規模は24年に600億元(約1兆2000億円)に達し、今後5年間は年平均成長率22.6%で成長する見通しだという。

*2024年2月10日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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