アリババ、生鮮スーパー事業でトップ交代。時代を築いた「ニューリテール戦略」に異変

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中国電子商取引(EC)大手のアリババグループは3月18日付の内部文書で、生鮮スーパー事業を中心とする「盒馬事業群(Hema Business Group)」(以下、フーマー)の侯毅・最高経営責任者(CEO)が定年退職し、現・最高財務責任者(CFO)の厳筱磊氏(45歳)がCEOを兼任すると発表した。

侯氏がアリババに入社したのは2015年。ちょうどその年、同社はオンラインとオフラインを融合させた小売業の新形態「新零售(ニューリテール)」戦略を打ち出し、当時の張勇CEOの肝いりでスーパー事業「盒馬」を設立した。侯氏は創設者の1人となると同時に、アリババの副総裁(副社長に相当)に就任した。

ニューリテールの急先鋒 アリババの「盒馬鮮生」 現実見据えつつ新たなビジネスモデルを模索

1964年生まれの侯氏は、EC業界で30年以上にわたって経験を積んだベテランで、EC大手の京東集団(JDドットコム)に長く勤め、物流関連事業の要職を歴任した。その経験が、盒馬の物流・配送システムを構築する基盤となった。

これまでの9年間、フーマーは侯氏の陣頭指揮のもと、中国における「消費のレベルアップ」を目指してきた。フーマーは、主力事業のオンラインとオフラインを融合させた生鮮スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」を360店舗余り開設したほか、アウトレット型店舗「盒馬奥莱」や会員制店舗「盒馬X会員店」、朝食専門店「盒小馬」など数々の業態を生み出して、都市部で暮らすミドルクラスに生鮮食品や雑貨などを提供していった。しかし、現在ではこのうちの大半が事業停止となり、事業を継続できているのは盒馬鮮生と盒馬奥莱だけだ。

インターネット業界が激変するなか、アリババは2023年に事業戦略を転換し、主力事業以外のグループ事業を6つに再編して、それぞれに経営の独立性を与えた。依然として完全な黒字化を達成していないフーマーは、独自に資金調達して上場する道を探る必要が出てきた。

アリババ、ニューリテール戦略の見直しか 百貨店事業を売却検討

2022年初めには、フーマーが100億ドル(約1500億円)の評価額で資金調達を進めていると複数のメディアが報じた。当時の張勇CEOは23年3月にアリババの事業再編を発表。同年5月の決算発表会で、盒馬が香港取引所への上場準備を開始したと明らかにした。しかし、香港市場の低迷を受け、同年末に上場計画は棚上げとなった。

かつて消費のレベルアップを目指したフーマーは、時代の変化にも直面する。景気が低迷している今では、合理的な価格が求められるようになり、ミドルクラスの消費行動が大きく変化したのだ。サムズ・クラブやコストコなど外資の大型スーパーの中国展開も加速している。これを受け、フーマーは2023年、ディスカウントスーパーへの転換を決定し、地方市場への展開に向かっていった。さらに、顧客の声を精査してサプライヤーとの関係を見直すと同時に、商品構成を簡素化し、約3000品目の取り扱いを終了した。

9年にわたる事業拡大とビジネスモデルの模索を経て、フーマーは今、新たな正念場を迎えている。

*2024年3月20日のレート(1ドル=約150円)で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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