テンセントの広告、最大アクセス量に売り上げが見合わない理由

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テンセントの広告、最大アクセス量に売り上げが見合わない理由

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テンセント(騰訊)は、多くの商品が億単位のユーザーに支持されているため、長らく最大のアクセス量を誇ってきた。中国の調査会社「Questmobile」が今年6月に公表したデータによると、テンセントはモバイルインターネットユーザーの総利用時間の42.3%を占めており、依然として他の超大手企業を大きく引き離している。

データ:QuestMobile(2019年6月時点)

しかし中国のインターネット4大企業(BATT)の中で、テンセントの広告収入が突出しているわけではない。Questmobileのデータによると、2018年の中国インターネット広告の市場規模は、3700億元(約5兆6000億円)だったが、そのうちアリババの広告収入額は1386億元(約2兆1000億円)、バイドゥ(百度)は819億元(約1兆2000億円)、テンセントは581億元(約8700億円)、そしてもうひとつの「T」が頭文字のニュースアプリ今日頭条(Toutiao)を傘下に持つ「バイトダンス(字節跳動)」は500億元(約7500億円)だった。インターネット広告市場全体で、テンセントの広告収入が占める割合は16%に過ぎない。ユーザーアクセス量の40%を占めることを考えると、それに見合ったものとは言えない。

データ:QuestMobile、智氪研究(2019年9月19日現在)
注:利用時間は2018年6月、広告市場シェアは2018年通年のデータ

テンセントはアクセス量でこれほど大きな強みを持っているにもかかわらず、なぜ広告収入がそれに伴わないのか?

1、テンセントの広告はなぜ収益が高くないのか?

ゲームで収益を上げる方が得意

テンセントが手掛ける複数の事業の粗利率を比較してみると、ゲームなどの付加価値サービス事業の粗利率が広告を大きく上回っていることがわかる。2015年第1四半期から2019年第2四半期まで、ゲームの粗利率は常に52%から67%の間であるのに対し、同時期の広告の粗利率は31%から47%の間で、両者には大きな差が見られる。このことから分かるように、テンセントはゲームで収益を上げる方が得意であり、それに比べると広告収入は存在感が薄い。

データ:テンセント(2019年9月19日現在) グラフ作成:36氪

各事業部の広告業務ラインにおける仕組みが複雑

全体的に見て、テンセントの広告業務は各事業グループで別々に扱われているため、メディアリソースやエージェントチャネル、広告の投下戦略などで連携しづらい。

この問題は2018年9月にテンセント広告サービスマーケティングライン(AMS)が設けられたことで一部は解決された。このAMSは元のソーシャル・成果報酬型広告部(SPA)とオウンドメディア事業群(OMG)の広告業務を統合したものだ。しかし、この取り組みには出遅れ感が否めない。なぜならアリババやバイドゥはテンセントよりも早く自社の広告システムを構築しており、会社全体で管理と出力を行っているからだ。

2、テンセントはSNS向けの広告を増やすべき

まだ伸びしろがある微信の広告掲載率

2011年にテンセントから登場したSNS「微信(WeChat)」は今や11億人以上の月間アクティブユーザー(MAU)を抱えている。2015年になって初めてモーメンツにおける広告の内部テストを開始。その後、微信は2018年3月と今年5月に2つ目および3つ目のモーメンツの広告を投下した。この他に、2018年にはミニプログラムに広告を出した。中国の証券会社大手「国泰君安証券(Guotai Junan Securities)」によると、2018年の微信の広告掲載率(Adload)は5%で、主要SNS商品には遠く及ばない。しかし、これは微信にまだ非常に大きな広告掲載の余地があることを示している。

データ:国泰君安(2018年12月31日現在)

粗利率にもまだ伸びしろあり

微信は売上規模においてより大きな可能性をテンセントにもたらすだけでなく、収益効果でも重要な役割を果たしている。決算書のデータによると、2018年第1四半期から今年第2四半期まで、テンセントの広告粗利率は31.2%から48.6%にまで上昇した。

データ:テンセント(2019年9月19日時点)

SNS広告の粗利率はメディア広告よりも高く、SNS広告、特にモーメンツ広告の急成長はテンセントの広告粗利率の全体的な増加の主な原動力となっている。

さらに今後予測される点としては、AMS部門の統合が進むにつれて、さらに社内の広告リソースやエージェントチャネルなどの連携が進むことだ。マーケティングにおける全てのサービス能力をまとめることによって、より大きな注文と収益につながる。

3、直面している課題

Questmobileの報告によると、今年6月時点で、ショート動画業界全体のMAUは8億6000万人だ。中でも「TikTok(抖音)」、「西瓜視頻(Xigua Video)」、「火山視頻(Huoshan Short Video)」のバイトダンス系列ショート動画アプリはユーザーが5億9000万人に上る。ショート動画共有アプリ「快手(Kwai)」のユーザーは3億4000万人に達している。これに対して、テンセントが期待をかける「微視(WeShow)」のMAUは1億人を超えたが、他のアプリと比べてまだメジャーとは言えない。テンセントはまだ代表的なショート動画アプリを売り出せていないため、この分野での広告収入は限定的だ。

その一方でバイトダンスはショート動画にとどまらず、テンセントがこれまでずっと得意分野としてきたゲームやSNSでも攻勢を仕掛けている。カルチャー・エンターテイメント分野を足掛かりに、バイトダンスは次なる分野の開拓に乗り出している。テンセントにとって、ショート動画での広告シェアの損失は別にたいしたことではないが、本当に警戒すべきなのは、バイトダンスがショート動画を切り口に、テンセントが重視しているカルチャー・エンターテインメント分野に攻め込んでくることだ。
(翻訳・虎野)

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