ホワイトハッカー率いる中国新興、AI活用し脆弱性に対応

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中国ではここ数年、インターネットの普及やデジタル化が進み、サイバーセキュリティに対するニーズが急速に高まっている。企業はユーザーの個人情報や企業秘密などセンシティブなデータを大量に保有しているため、情報漏洩やサイバー攻撃で重大な損失を被る可能性がある。

さらに、人工知能(AI)技術の進歩に伴って、AIを利用したサイバーセキュリティのリスクも増大してきた。企業の管理者にとって、大切なデータをいかに保護するかが不可避の課題となっている。

こうしたなか、サイバーセキュリティに特化したAIエージェントを提供する新興企業「雲起無垠(CLOUDITERA)」にも注目が集まる。同社はこのほど、エンジェルラウンド+で数千万元(数億円超)を調達した。

雲起無垠は2021年に設立され、翌22年に実施したエンジェルラウンドで数千万元を調達。その後1年の間に、AIベースの知的エージェント2種類「無垠模糊測試智能体」と「無極AI安全智能体」を発表した。

ソフトウエアの脆弱性を検査するファズテスト(模糊測試)向けのAIエージェント「無垠模糊測試智能体」では、遺伝的アルゴリズムやシンボリック実行、自然言語処理、コンテクスト理解などの技術を活用し、セキュリティホールを自動検出・検査・修復する際の効率と精度を高めた。

サイバーセキュリティに関する情報やツールなどを提供するAIエージェント「無極AI安全智能体」には、ソフトウエアの脆弱性を一元管理するための共通脆弱性識別子(CVE)や共通脆弱性タイプ一覧 (CWE)に加え、サイバーセキュリティに関する最新の研究成果を収めたデータベースなどを搭載。サイバーセキュリティに関するQ&A、セキュリティホールの分析、セキュリティ対策ツールの起動、脅威検知など、総合的なセキュリティ機能を備えている。

雲起無垠の沈凱文・創業者兼最高経営責任者(CEO)は、理系の名門として知られる清華大学でサイバーセキュリティを研究し、博士号を取得。これまでに、サイバーセキュリティの国際会議「Black Hat USA」で多数の論文を発表したほか、ホワイトハッカーの力量を競う世界的な大会「DEFCON」や「HITCON CTF」などでの受賞歴がある。2019年に中国で開かれたホワイトハッカー大会「GeekPwn(極棒)」では、世界チャンピオンに輝いた。

雲起無垠はすでに、ソフトウエアの著作権やサイバーセキュリティ関連の特許を数十件取得しており、品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO 9001」や、情報システムの運用・管理体制全般に関する国際規格「ISO 20000」などの認証を受けている。

また、中国の情報セキュリティ脆弱性データベース「CNNVD」をセキュリティホールに関する技術で支えており、研究機関の中国信通院から最高レベルのプロダクトを提供する企業として認められている。同社は、中国の政府や業界の標準規格20件以上の策定に参画し、国務院直属の政府機関のほか、科学研究機関やエネルギー、金融、通信、自動車など多くの業界向けにサービスを提供している。

調査会社IDCなどのデータをまとめると、中国のサイバーセキュリティ関連の支出は、2021年の122億ドル(約1兆9000億円)から22年には137億6000万ドル(約2兆円)に増加し、26年には318億ドル(約4兆8000億円)に達する見通しとなっている。予測される21〜26年の年間複合成長率23.3%に基づいて計算すると、28年には市場規模が484億ドル(約7兆4000億円)に拡大する見込みだ。

中国信通院が発表した「中国サイバーセキュリティ産業研究報告(2022年)」によると、中国のサイバーセキュリティ市場の主な顧客は政府機関、電気通信企業、金融企業で、この3つの分野の売上高が全体の58.4%を占めている。

*1元=約21円、1ドル=約152円のレートで計算しています。

(翻訳・田村広子)

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