ロボット用パワーユニット開発の中国メーカー、ダイレクトドライブモーターでコストを大幅削減

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ロボット用パワーユニット開発の中国メーカー、ダイレクトドライブモーターでコストを大幅削減

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ロボット用パワーユニットの開発を手がける中国の「本末科技(Direct Drive Technology)」はこのほど、プレシリーズBで1億元(約21億円)規模の資金を調達した。出資は北京市政府系の順禧私募基金(Shunxi Venture Capital)と亦荘創投(E-Town Venture Capita)が主導し、既存株主のレノボ・キャピタル・インキュベーター・グループ(LCIG)も参加した。資金は技術開発、製品改良、市場開拓、生産自動化などに充てられる。

本末科技は広東省東莞市で設立され、2021年3月のシードラウンド以降、これまでに5度の資金調達を実施した。ロボット用パワーユニットの研究開発と生産を手がけ、減速機を使用しないダイレクトドライブ式パワーユニットのソリューションを提供している。

減速機はロボットの基幹部品とされている。同社はその減速機を使わずに、モーターで直接かつ正確に動力を提供することで、端末となるロボットの動作スピードと効率を向上させ、長寿命化とメンテナンスコストの削減を図った。

ハルバッハ配列を導入したモーターのイメージ

同社はコア部品事業とロボット事業を展開している。コア部品事業では、ダイレクトドライブ技術をベースに、家庭用ロボット、産業用・サービスロボット、健康・娯楽機器向けの3つの製品ラインを構築している。この分野で使用されるセンサーやアクチュエーター、モーターの研究開発、設計、生産を手がけ、顧客の求めに応じてカスタマイズからプランニング、デバッグ・メンテナンスに至るオールインワンのソリューションを提供している。

家庭用ロボット、産業用・サービスロボット、健康・娯楽機器向けにダイレクトドライブモーター「M6」「M9」「M15」「M11」を開発した後は、教育用の卓上ロボットなどニッチな分野を開拓し、「M0501A」「M0502A」「M0604A」という3種類のダイレクトドライブモーターをベースとする革新的なダイレクトドライブモーターソリューションを打ち出した。業界が長年抱える高コストの問題を解決し、モーターと減速機を合わせる従来の方式に比べ全体のコストを50~60%下げたという。

また、工業輸送、倉庫・物流、娯楽設備、家庭用洗濯機・乾燥機といった分野にも進出した。

創設者の張笛氏によると、同社はハルバッハ配列の技術をダイレクトドライブモーターの開発に活用することで性能の向上を図り、特に重要指標とされるトルク密度は従来の永久磁石モーターの1.5倍以上に高まったという。これによって、ダイレクトドライブモーターは、同じ体積でも出力が大きくなり、より高い負荷、細やかな制御、過酷な環境での活用が可能になった。

ロボット事業ではすでに車輪付きロボットの「刑天」と「TITA」をリリースしている。昨年リリースされたTITAはさまざまな業界とシーンに対応するロボット技術ソリューションを提供している。例えば運動制御や、複雑な工業環境に対応するエンボディドAI、大学や科学研究機関、物流などのシーンに活用できる四足および四脚車輪ロボットなどさまざまなバージョンを発表。また、ホットスワップ式のバッテリー交換ステーションによって、TITAの24時間航続も実現した。

本末科技は今年から本格的に、汎用エンボディドAIロボットの開発に取り組んでおり、危険性や緊急性、反復性のある作業に特化したロボットの検知ソリューションを発表した。システムの構築やメンテナンスなどの効率向上を図り、ロボット事業のさらなる成長を目指している。

*1元=約21円のレートで計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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