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中国から日本に留学している周岩さんは昨年、不動産会社でアルバイトをし、日本の不動産購入を希望する外国人客を不動産会社に紹介する手伝いをしていた。わずか半年の間に、不動産を購入したいと考えている中国人40人ほどから、周さんのSNSアカウントを通して問い合わせがあった。
周さんによると、この数カ月に相談してきた人は4000万円から7000万円程度の予算で、一括支払いを考えていた人が多かったという。他の仲介業者も「取り扱っている客には購入用に数億元(数十億円)を準備している人もいた」と話す。
東京の不動産市場は活況を呈している。報道によると、東京都23区の2023年の不動産平均価格は前年に比べ39.4%上昇して1億1483万円となり、2022年の記録を大幅に塗り替えて過去最高となった。1990年代初めに不動産価格が暴落してから30年以上かけて徐々に回復してきた。
日本で不動産投資する人たちが最も期待するのは、長期的で安定した収入だ。
周さんが世話をしたある中国人客は、約4000万円の戸建て住宅を東京で購入した。この客は賃貸の家賃収入による利回りを4~5%程度と見積もっていた。つまり賃貸を始めてから投資額を回収するまでに15年から20年かかることになる。しかし周さんが以前住んでいた中国国内の都市なら利回りは約2%で、普通は回収に30年から40年が必要だ。同じ額を投資するなら、日本で不動産を購入する方が割がいいということになる。
利回りのほか、為替レートも外国人投資家にとって決め手になる。
ある客が購入した大阪府のアパートは、手続き費用など合わせて約600万元(約1億2000万円)だった。ところが今はアパートの価格が約5%値上がりし、その一方で日本円と人民元の為替レートは購入時に100円=約5.2元だったのが約4.8元になった。その客は、大阪の不動産価格はまだ値上がりしているが、レートの悪い時に買った自分は「損をした」と笑う。
この1年間円安が続き、不動産価格の上昇分は為替レートの下落でほぼ相殺されたため、中国人の不動産投資熱はさらに高まった。1億円程度の物件だとすると、以前の為替レート100円=約5.2元では、住宅購入には520万元(約1億1000万円)必要だった。しかし現在の約4.8元で計算すると、不動産価格が5%値上がりしたとしても、購入価格は504万元(約1億円)にしかならない。
コロナ禍前には日本への投資を考えていた人は多くなかったが、今では毎日嬉しそうに「為替レートがまた下がった」とか「レートがいい」などと話す人がいるという。
投資をしている朱酒さんは、円安が続いていることを考慮すると、今の不動産価格上昇は実のところ円安を反映したもので、日本の不動産市場がここまで回復しているというわけではないと考えている。「日本の株式市場も不動産市場の状況も円安の表れだ。GDPを見ると日本の経済はそれほど変化していない」と語る。
厚生労働省が公表した人口動態統計によると、日本の2023年の出生数は75万8631人で過去最低となった。また総務省の住宅・土地統計調査によると、日本全国の空き家は2018年に約850万戸にのぼった。
日本では少子高齢化が大きな問題となっている。日本の不動産が外国人投資家をひきつけているのは、互いに歩み寄っている状況と言えるかもしれない。
※2024年3月29日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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