中国人観光客は再び日本に殺到、見えた新たな観光トレンドとは

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中国の大型連休春節が過ぎた。日本への中国人観光客が戻ってくるか気になるところ。「中国の景気が悪い」「福島第一原発処理水の問題を心配している」「中国国内のハルビンなどへの観光が盛り上がっている」といった理由から、今年はそれほど中国人は訪日しないのではとも言われたが、蓋を開けば日本に中国人観光客が戻ってきた。出国者数については中国政府移民管理局やアリババの旅行サービス「Fliggy(飛猪)」、アントの「アリペイ(支付宝)」も、各自の調査から「中国人の海外旅行は2019年相当まで戻る」と発表している。

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どれだけ中国人観光客が来日したかは日本政府観光局(JNTO)の公式発表を待つしかないが、かなりな数に上ったのに間違いない。Flyggyの予測では人気の渡航先として日本、タイ、韓国、マレーシア、オーストラリア、シンガポール、アメリカなどを挙げる。

タイは、中国人の海外旅行先人気ランキングでは常に第1位にある。シンガポールも、春節を前に中国とのビザの相互免除を発表し、特に今年は渡航先として注目を浴びた。OTA大手のCtripのデータによると、1月25日に相互ビザ免除のニュースが発表されてわずか10分後に、シンガポール関連の観光商品への関心、購入が大幅に増加した。中国人観光客の取り込みで日本は不利な要素があるが、それでも東京や京都で中国人観光客の姿が多く見られた。

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一方で2019年と比べて中国人観光客に変化が見られている。報道によると、タイでは中国人観光客の消費が控えめになり、ブランドショップや免税店や高級ホテルでの消費額が大幅に減少したという。2019年以前はツアーでは買い物で4店舗手配するのが一般的だったが、今年は多くても3店舗に抑え、ツアーによってはまったく買い物手配を行わないことも。消費の意識に変化があったことに加え、中国国内で輸入商品は簡単に、かつそれほど高くなく入手できるようになったのも背景にある。

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買い物へニーズが減った代わりに、増えたのが多様化した体験ニーズだ。ニーズに応え、タイの旅行会社は人気に応えるべく、少人数から催行される旅行商品を用意した。特に人気なのがSNSで話題となったカフェやショップを利用したり、ヨットやダイビングなどのマリンスポーツを楽しみながらその様子を撮影するツアーだった。

どうやら中国人の観光スタイルは、家族単位で買い物を中心するものから、若年層がけん引して体験重視することへとシフトしているようだ。訪日観光客においても中所得層で、上海北京~省都クラス(一二線)都市の在住者が多く、年齢別では22~41歳の割合が82.8%、学歴別では大学生や大卒の割合が約74.4%と多数派だ。すなわち、ある程度独自の判断基準を持ち、ネガティブなネットの話題にも大きく消費を揺さぶられない層とも言える。職業別では学生のほかには、会社員、フリーランスが多く年収は10万~20万元(約210〜420万円)となっている。ネットを通じて積極的に渡航予定地の観光や宿泊や交通やそれらにかかる情報を事前に研究するのが今どきの個人観光客の特徴だ。

東南アジアではもうひとつ観光トレンドが起きている。タイやベトナムへは下見するためのビジネス旅行が大幅に増加しているのだ。中国は今、国内での消費低迷の反面、TemuやSHEINが躍進しているように中国発の越境ECが盛り上がっている。タイの場合はインドネシアに次ぐ東南アジア第2位のEC市場で、2023年のタイの電子商取引成長率は17%となり、デジタル経済のGMVは360億ドルから増加して期待されている。またタイには中国の電気自動車(EV)企業が多く進出していることから、EV産業チェーンを視察するために訪問する人も増えた。タイをはじめ東南アジアの中国企業進出トレンドによって普及してきた「ビジネスツーリズム」は、徐々に観光経済の新たな推進力となりつつある。

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現在、中国人ビジネスマンや投資家は日本にも注視している。SHEINTemu7sgoodといった中国発の越境ECが日本市場に進出し、スタートアップ企業が日本でサービスを展開を模索している。こうした日本をビジネスチャンスと見て訪日するビジネスツーリズムもタイ同様に増えていくはずだ。

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(作者:山谷剛史)

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