中国ネット文学、進む海外進出 多くのファンを獲得

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中国のネット文学は近年、無形文化遺産や民間伝説、歴史故事などを多く取り上げ、伝統文化の多様な題材との融合を図っている。伝統文化を反映した「国潮」作品が流行する一方で海外でも文化背景の異なるユーザーを多く獲得。ストーリーの続きを待ちわびるなど人も多いという。
 
中国社会科学院文学研究所が2月に発表した「2023中国ネット文学発展研究報告」によると、中国のネット文学作家は23年末時点で2405万人、作品数は3620万本。利用者は5億3700万人と前年から9%増加した。中国インターネット情報センター(CNNIC)が23年8月に公表した第52回「中国インターネット発展状況統計報告」による中国のネット利用者数は10億7900万人なので約半数がネット文学利用者ということになる。
 
「国潮」文化が若者の支持を集める中、ネット文学にも同様の傾向が見られ、「唐人的餐卓」は伝統料理に焦点を当て、「洞庭茶師」は茶文化を背景に現代の起業物語を描写。「我本無意成仙」(仮訳:仙人になる気はなかった)は評書(講談)や木彫、溶かした鉄を空にまく伝統行事「打鉄花」など無形文化遺産の要素を取り入れている。
 
23年の中国ネット文学のもう一つの特徴はグローバル化で、「研究報告」によると海外の市場規模は40億元(1元=約21円)を超え、閲覧者は約2億3千万人、200カ国・地域余りに広がった。人工知能(AI)による翻訳やIP(知的財産権)の世界的な相互作用などの好材料に支えられ、小説や映画・ドラマ、ゲームなどに代表される「中国語IP」は徐々に世界的視野を持つようになり、ネット文学作家の横掃天涯さんが書いたファンタジー小説「天道図書館」のように英語やフランス語、スペイン語などに翻訳され、海外からの閲覧数が1億8千万回を超える作品も現れた。ロシアで人気が高い翻訳サイト「Rulate」では「修羅武神」「全職法師」などの閲覧数がいずれも2千万回を超えている。
 
海外のソーシャルネットワークサービス(SNS)では「仙侠や道教のファンタジーが好き」「中国のネット文学はやみつきになる爽快感がある。つねにハラハラし、心が揺さぶられる」など中国ネット文学への称賛が多く見られる。
 
ネット文学の海外進出では映画やテレビ・ラジオドラマ、寸劇動画など派生作品の影響力もますます高まっている。現代の記憶を持ったまま過去に転生した若者が活躍する歴史ドラマ「慶余年~麒麟児、現る~」のシーズン2は、中国ドラマでネットの視聴予約が初めて1千万を超え、海外の独占配信権はディズニーが獲得。宋の時代の農村にタイムスリップした女子大生のラブコメディー「田耕紀~田園ロマンス~」は中国の動画配信サービス「愛奇芸」のタイ版、日本版の人気ランキングでトップとなり、中国電子書籍大手の閲文集団(チャイナ・リテラチャー)が初めて海外配信した小説「蒼穹の剣」はオンラインゲーム化されてマレーシアとインドネシア、タイで配信された。
 
中国ネット文学の他文化への広がりは国や地域により方向性やスピードが異なり、現在は主に北米と東南アジア市場に集中している。女性向けネット文学サイト「晋江文学城」の劉旭東総裁は今後の国際化について「さまざまな国・地域の読者のネット文学に対する好みを理解することで初めて市場開拓・運営の狙いを定めることができる」と指摘した。
 
閲文集団の責任者は「ネット文学は東西文化モデルの交流を実現し、世界で中国文化の代名詞になりつつある。IPの多元的な発展は、優れた作品に世代を超えて愛されるグローバルなIPになるチャンスをもたらす」と語った。(新華社北京)

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