600件以上の導入実績を達成、中国の大型無人搬送車(AGV)メーカーが海外展開を加速

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中国の大型無人搬送車(AGV)メーカー「天津朗誉機器人(Tianjin Lonyu Robot)」がこのほど、シリーズA+で数千万元(数億~十数億円)を調達した。出資は瞳輝創投が主導し、中車(青島)創投も参加。資金は生産能力の拡大と市場の開拓に充てられる。

重い部品の搬送や組立に使われる大型AGVは、積載量の大きさと高い技術水準が特徴で、風力発電や機械工業、重工業などで幅広く使われている。朗誉機器人は2018年から大型AGV分野に参入し、これまでに積載量が数百トンに上る複数の大型AGVを実用化したほか、無人ダンプトラックなどの開発も終えたという。

大型AGVの開発で難しいのは、複雑な条件の路面で安定した運行を実現することだが、同社はシャシー制御、運行管理システム、傾き調整などの課題を首尾よく解決した。シャシーには業界平均を大幅に上回る256個のサーボモーターを搭載することで、AGVの協調制御を可能にした。また、悪路や斜面においても、車両の運行状況を検知するセンサーや、特許を取得した油圧式レベリングシステムによる傾き補正によって、AGVと積載物の安定を確保している。

同社は主に超大型、フレキシブル組立ライン用、屋外用のAGVを展開している。既存の機械・重工業シーンで活用される超大型AGVに比べ、フレキシブル組立ライン用AGVは自動車、部品、特殊車両などの生産に用いられることが多く、自動車など従来型生産ラインのコンベヤに代わる役割を担う。

コンベヤを使う組立・生産ラインでは、コンベヤ上の製品に不具合が生じてもそのままラインの末端まで流すしかなく、全体の生産効率に影響が及ぶ。これに対して同社のフレキシブル組立ライン用AGVは、生産ラインから不良品を個別に取り出し、修理した後で再びラインに戻すことができるため、生産効率を向上させられるという。また、異なるモデルの製品を生産する場合にも、作業ステーションの数を増減したり工程を調整したりして全体のバランスを取り、生産ラインの汎用性を高められる。

無人ダンプトラックに代表される屋外用AGVでは、閉鎖環境における点から点への物流ソリューションを中心に、運行の安定性に関する課題の解決に注力している。また、5G+北斗衛星ナビゲーションやレーザーナビゲーションなど複数のナビゲーションと組み合わせて使用できる運行システムを独自に開発したほか、ハードウエアにはLiDAR(ライダー)やミリ波レーダーなどを搭載して衝突を防ぎ、安全な運行を実現した。

同社の製品は自動車や風力発電などの分野で幅広く活用され、600件以上の導入例がある。また、生産ラインの自動化を進め、生産能力の拡大を図っている。今後は海外進出を加速し、中国の経済圏構想「一帯一路」に合わせて製品を展開する計画だ。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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