EV普及で重要性を増す「インテリジェント・シャシー」、中国新興が検証終え量産へ

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EV普及で重要性を増す「インテリジェント・シャシー」、中国新興が検証終え量産へ

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自動車のシャシーを開発する中国企業「域磐科技(UPon Technology)」はこのほど、シードラウンドとエンジェルラウンドで計1億元(約20億円)近くを調達した。シードラウンドは陸石投資(Landstone Capital)が主導し、清流資本(Crystal Stream)や西木投資などが参加。エンジェルラウンドはシャオミ(小米集団)の戦略投資部門が主導し、順為資本(Shunwei Capital)と陸石投資が参加した。資金は主に生産ラインの建設、製品の研究開発、市場開拓などに充てられる。

2023年4月に設立された域盤科技は、自動車のシャシー制御技術に特化して、安全性の高いシャシー制御システムと車両全体の安定性を確保するスマート制御ソリューションを提供している。コアメンバーは自動車部品の研究開発や量産化に平均12年以上携わった経験があり、7割が修士もしくは博士の学歴を有する。創業者の張小楽氏は清華大学自動車工学部を卒業後、トップクラスの自動車メーカーや世界的なティア1企業で20年にわたりシャシーの技術開発、製品企画、工場建設、産業チェーンに従事してきた。

域盤科技は後輪操舵システム(RWS)からステアリング分野に参入した。張氏によると、画期的な後輪操舵システムを発表したほか、ステア・バイ・ワイヤとアクティブサスペンションも手がけ、XYZ三方向のシャシー制御を通じて四輪の動的安定性を確保する盤石なインテリジェント・シャシーを開発した。

同社は現在、国際規格であるIATF 16949(自動車品質マネジメント)、ISO 14001(環境マネジメント)、ISO 45001(労働安全衛生マネジメント)の認証をすでに取得し、研究開発、生産、品質、サプライチェーン管理の全プロセスも構築している。

張氏によると、インテリジェント・シャシーに求められるのは安全性と安定性であり、四輪全てを制御して、車両の動力学に基づきシャシー全体の安定性を確保することが最良のソリューションになるという。同社は、ブレーキシステムによって車両制御の安定性を確保する一般的なアプローチをベースに、四輪操舵システムとアクティブサスペンションシステムを連動させることで、車両の動的安定性を大きく高めた。後輪操舵システムはすでに検証と走行試験を終えている。また、ステア・バイ・ワイヤとアクティブサスペンションもサンプルの検証を終え、15件の特許を出願したという。

研究開発と製造を一手に担う同社の量産拠点はすでに稼動を始めており、北京と上海という二大自動車産業集積帯をカバーしている。さらに年産能力20万台のスマート生産ラインも完成し、3000平方メートルを超える研究開発用の実験室とオフィスも設けられたと張氏が明らかにした。

電気自動車(EV)の普及率が高まるのに伴って、シャシーに求められる技術レベルも高まり、ステア・バイ・ワイヤやアクティブサスペンションといった乗り心地を良くする部品には自動車メーカーからの安定した需要があると域磐科技がみている。今回の資金調達後、製品の量産を加速する見通しだ。

エンジェルラウンドの出資を主導したシャオミの戦略投資部門は、EVの新時代がスタートアップに無限の可能性と新たなチャンスをもたらすとの見方を示している。そのうえで、ステアリング分野における域磐科技の確かな技術力をはじめ、創業チームの研究開発、製品、製造における総合力を高く評価した。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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