CATLとTDK傘下企業合弁の「Ampace」、次世代型蓄電システムを発表。冷却なし温度制御システムでコスト減

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中国の産業用・商用蓄電システム市場は昨年爆発的な拡大を見せ、新規参入メーカーが続々と登場し、古参メーカーも取り組みを強化するなど、活気にあふれた。

蓄電システムを開発する「Ampace(新能安科技)」は4月11日、北京で開催された第12回エネルギー貯蔵国際サミット・展示会で、屋外型のオールインワン蓄電システム「Ampace C5」を発表した。

Ampace C5は冷却無しの全温度制御システムを採用、補助電源のエネルギー消費を55.2%抑え、設備投資のコストを34.6%削減しており、事業者はより少ないコストで環境配慮型のシステムへ移行できる。2024年7月に量産開始を予定している。

Ampaceは中国車載電池大手のCATL(寧徳時代)と、日本TDKのグループ企業、新能源科技(ATL)というリチウム電池の大手2社が共同で設立した。生産設備に100億元(約2200億円)以上を投資し、リチウムイオン電池のほか、バッテリーセルやバッテリーマネジメントシステム(BMS)、モジュール、電池パックまで、電池産業全体をカバーする研究開発・製造システムを持つ。

中国の調査会社、高工産業研究院(GGII)によると、Ampaceは家庭用蓄電池向けリチウムイオン電池の出荷量が世界の3割以上を占めるトップメーカーだ。

今回の展示会で出品した新しい蓄電システムには大きな特徴がある。

他の蓄電池メーカーが今回の展示会に出品した産業用・商用蓄電池システムでは、温度制御の方法として一般的な空冷と水冷のほか、空冷と水冷を組み合わせた方式などが採用されていた。

Ampaceが開発した冷却無しの全温度制御システムは、従来の水冷や空冷といった冷却方法は全く使わない。温度制御のコストは一般的に蓄電池システムの3~5%を占めており、このコストを削減すればより経済的になる。

Ampaceによると、蓄電システムを1日に2サイクル使用するとして、一般的な水冷方式ならエネルギー消費は3%以上になるが、Ampace C5では1.35%に抑えることができ、10年間で補助電源のランニングコストを46%削減することができる。これはバッテリーセルに特殊な設計を施すことで実現したもので、大手リチウムイオン電池メーカーのバックアップを受けているAmpaceが得意とするところだ。

Ampace C5は「GT40」技術を使ったバッテリーセル「昆侖2.0」を採用した。このバッテリーセルは新しい正負極材と新しい電解質、双極バッテリータブの構造により、高温下での耐用性を高めて、放熱システムへの依存度を減らす効果がある。最高技術責任者(CTO)の袁慶豊博士は、GT40の技術でAmpaceは限界を打ち破ったと力強く語った。

Ampaceは早い時期から蓄電システム市場に参入し、2023年には産業用・商用に特化して開発した15000サイクルのバッテリーセル、サーバールームやデータセンター、通信用電力バックアップそれぞれに向けた蓄電システムとソリューションを発表した。

今回の展示会で発表したAmpace C5で改めて産業用・商用蓄電システム市場に挑戦する。

Ampaceの蓄電事業部責任者である朱岩松氏は、産業用・商用蓄電システムのメリットが明確になるにつれて市場のニーズも拡大しているため、引き続きこの分野に注力し、安全で信頼性の高い、長期間使用可能な製品を提供したいと語った。

※2024年5月7日のレート(1元=約22円)で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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