「直射日光下もでクリアな画像」中国新興の3Dビジョン技術、工場の自動化を後押し

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「直射日光下もでクリアな画像」中国新興の3Dビジョン技術、工場の自動化を後押し

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ロボットアーム向けの3Dカメラなどを開発する中国企業「遷移科技(Transfer Technology)」がこのほど、善達基金(Shanda Capital)の主導するシリーズBで数千万元(数億~十数億円)を調達した。資金は主に3Dビジョン製品の標準化、販売システムのグローバル化に充てられる。

2017年に設立された遷移科技は、産業用3Dカメラと3Dビジョンシステムのサプライヤーで、これまでに数億元(数十億~百数十億円)を調達している。長年にわたり蓄積してきた3Dカメラ本体やアルゴリズム、ソフトウエアの技術を生かし、安定性、使い勝手、コストパフォーマンスに優れた人工知能(AI)搭載の3Dビジョンシステムを構築した。製品は対象物の上げ下ろし、積み降ろし、位置決め、組み立てなどに活用され、製造業や倉庫物流の自動化を後押ししている。

同社はファクトリーオートメーション(工場の自動化)の分野を強力にバックアップするため、3Dカメラ「Epic Eye」シリーズと3Dビジョンソフトウエア「Epic Pro」を独自開発した。カメラ製品はいずれも構造化光方式を採用、点群データの質の高さは業界トップレベルで、EUのCEマーク、米国のFCC規格、韓国のKCマーク、日本のVCCI規格などの国際認証を取得している。同社の3Dカメラは外乱光の耐性が12万ルクスと高く、夏季の直射日光下でもクリアな画像を生成できる。

ビジョンソフトウエアの「Epic Pro」は多数のアルゴリズムを搭載し、グラフィカルなインターフェースを採用している。ロボットとの通信や点群データの取得、作業内容の設定などの業務プロセスをノーコードで行うことができ、プログラミング不要で手軽に導入・使用できるのが特長だ。ユーザーはインストール後、ワンクリックでカメラとロボットを接続し、最短で2時間以内にビジョンアプリケーションを構築できる。初心者でも20分で操作できるようになるため、担当者の学習コストと使用ハードルが大きく下がった。

また、同社は3D画像生成、3Dビジョンセンサ、ロボット動作計画、障害物回避アルゴリズムなどの開発に多年を費やしてきた。独自に開発した6D姿勢推定アルゴリズムは、その性能が高く評価されている。

遷移科技は持続的な成長と競争力の維持を図るため、技術開発に力を入れている。従業員は現在100人以上、うち研究開発スタッフが60%以上を占め、コアメンバーは清華大学、浙江大学、中国科学院など一流学術機関の出身者だ。同社は3Dカメラ、3Dビジョンアルゴリズム、ソフトウエア、ロボット動作計画、障害物回避の分野を中心に数十件の特許を取得したという。2023年には、米シリコンバレーのテック情報メディア「The Information」が選ぶ「世界で最も有望なスタートアップ企業50社」に、3Dビジョン分野の企業として唯一選出された。

創業者の樊鈺CEOによると、同社は中国の3Dビジョン市場で幅広く事業を展開しており、納品率も100%に達するという。2023年末までに新エネルギー、自動車、化学、家電、金属製造などの業界向けに500件を超えるプロジェクトを手がけ、顧客にはメルセデスベンツ、テスラ、フォルクスワーゲン、寧徳時代(CATL)、中国海洋石油(CNOOC)、中国石油化工(シノペック)、美的(Midea)などの世界500強企業を多く含んでいる。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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