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中国発の電動バイクメーカー「霓星科技(NAXEON Technologies)」がこのほど、シリーズAで九智資本(JZ Capital)と南寧産投(Nanning Industrial Investment)から数千万元(数億~十数億円)を調達した。資金は製品開発とマーケティングに充てられる。
NAXEONは、2021年9月に設立され、新エネルギーを動力源とするモビリティツールの開発と生産に特化している。若年層のユーザーが都市部での通勤に使うことを想定し、高速走行が可能な電動バイク「I AM.」を最初の製品として発売した。
創業者の牟剛氏は自動車およびバイク業界では有名な企業家で、新エネルギー車を手がける力帆科技(Lifan Technology)の会長として世界150以上の国と地域に販売網を構築し、複数の進出先でトップシェアを獲得した実績を有する。
次世代電動バイクの鍵ーースマート化
中国市場で二輪車の電動化がピークを迎えたのは2013年頃。都市化を背景に低価格の電動自転車がユーザーの需要と使用シーンを切り開き、15年以降は政策と投資の後押しをうけつつ、新エネルギー車メーカーが成長期を迎えた。牟氏は絶え間ない研究を通じて、デザイン、性能、コストパフォーマンス、ブランドという4つの要素が消費者の意思決定を左右すること、また若年ユーザーが電動バイクの性能よりもスマート化を特に優先するとの結論に至った。
牟氏は「当社は低価格を追求するのではなく、デザイン、使いやすさ、楽しさを極めることに重点を置く」と話す。同社が独自開発したI AM.は、それをポイントに電動化とスマート化が進められた。
I AM.はモーターの定格出力が7.5キロワット(kW)、最大出力が10.5kW、0-50キロ加速が2.8秒、最高時速120キロ、最大航続距離は180キロに上る。超軽量型の半固体電池を搭載して車両重量を110キログラムに抑え、エントリー層のニーズに応えた。
車両の電動化に加えてスマート化にも力を入れている。I AM.は車両の状態や警告をさまざまなライトで知らせるシステムになっており、ハンドルに付く2つのリング状ライトが走行中のトルクを動的に表示したり、車載ディスプレイにエネルギー回収システムの状態をリアルタイムで表示したりする。
I AM.は7インチのフルカラーディスプレイを搭載し、近距離無線通信(NFC)、Bluetooth、モバイル通信、ウェアラブルデバイスという4つの方法でロックを解除できるほか、デュアルカメラによる自動録画とシェアが可能で、車両システムはOTA(Over The Air)によって無線通信でアップデートされる。
運転の安全性を確保するため、ミリ波レーダーによる死角検知機能(BSD)、加速度センサー(Gセンサー)、アンチロック・ブレーキシステム(ABS)などが搭載されている。また、重量感知システムがシートの荷重を検出していない状態では、バイクは発進しても時速5キロの超低速走行モードに切り替わる。
電池はS3(Safety、Smart、Simple)タイプの半固体電池を採用した。これは容量と航続距離が同じ従来の電池よりも、サイズが30%下回る一方、エネルギー密度が30%、充放電性能が50%上回り、耐熱性、サイクル寿命、安全性も業界平均より優れている。
事業戦略はグローバル化、欧米を起点に世界へ
NAXEONは設立当初からグローバル化の事業戦略を掲げ、製品設計の早い段階から欧米のユーザーやディーラーを訪問し、調査を実施してきた。
牟氏によると、欧米市場から事業をスタートしたのは、欧州連合(EU)や米国、東南アジアなど、新エネルギーの自動車やバイクの普及を奨励する国が増えており、購入補助金の支給や駐車料金の免除といった政策的な後押しがあったためだ。一世代前のバイク愛好家に比べ、欧米の若年ユーザーは目新しい技術を試そうとする意欲が強いという。また、欧米市場では電気自動車(EV)充電設備の整備が徐々に進んでおり、自動車用充電器を採用した同社の電動バイクもEV充電スタンドを手軽に利用できる。
すでに欧州と米国に販売会社を設立し、パートナー企業を募って経営の現地化を進めている。中国本社は全体的なブランド戦略、ニューリテール技術やアフターサービスなどのシステムを提供している。
また、重慶市にある研究開発センターが製品の設計、電池・モーター・制御装置や車両システムの開発を担い、南寧市の研究開発センターでは製品のテスト、製造技術の開発を進めているほか、イタリアのミラノに欧州マーケティングセンターを設立した。工場も稼働しており、自動生産ライン、車両性能テストライン、自動梱包ライン、トレーサビリティシステム、部品および車両倉庫が設けられている。
I AM.はすでに欧州で納品が始まっている。牟氏によると、同社はI AM.に続き、今年10~12月にスクータータイプの電動バイク2車種を発売する予定だという。欧州以外では今年5月にインドネシア二輪車展示会(INABIKE)に参加しており、年後半には東南アジア市場への進出を計画している。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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