3万円を切る消費者向けARゴーグル 「Dreamworld AR」が叶えるプライベートモバイルシアター

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米シリコンバレーで創業、中国を中心に事業を展開する「Dreamworld AR」が8月下旬、コンシューマー向けARゴーグル「DreamGlass Air」の発売を開始した。価格は264ドル(約2万9000円)から。

2016年創業のDreamworld ARはこれに先立ち、昨年6月に初代ARゴーグル「DreamGlass」をローンチ。教育業界向けソリューションとなる同製品は現時点で世界15カ国に出荷されており、同社は複数の世界トップ500企業との提携を実現している。

2代目となる今回のDreamGlass Airは発売2週間で販売数が2000台を超え、売上高は400万元(約6000万円)を突破した。同社の年間販売数は今年、合計1万台を超える模様だ。

ARゴーグルは企業向け市場においてはある程度活用されてきたが、価格の高さに加え、UX(ユーザーエクスペリエンス)や適応するコンテンツの不足が原因で、コンシューマー市場向け製品で特に優れたものはこれまで少なかった。さらにはARゴーグルの生産コストを抑え、速やかに量産を実現することも、ARゴーグルが同市場を打開する上での鍵となる。

DreamGlass Airはヘッドセット型のARデバイスで、150g/240gの2タイプがあり、視野角は90度、解像度は2.5Kで近視対応、価格は300ドル(約3万円)以下に抑えた。Dreamworld ARの創業者である鍾張翼(Kevin Zhong)氏によれば、同製品には自社開発したコンパクトなAR向け光学モジュールを搭載している。独自のアルゴリズムにより設計した特殊な自由曲面光学技術で、競合製品の2~3倍の視野角に加え、優れた解像度や彩度も実現。また生産コストは他の光学モジュールの10分の1~30分の1に抑え、ゴーグル自体の生産コストを最大限に引き下げた。さらに、ARゴーグルの設計時には人間の目の生理機能に配慮し、ユーザーが最も快適に使用できる工夫が施されている。

ARデバイスが一般に普及するには、ハードウェア自体の価格や使い勝手に加え、豊富なARコンテンツも欠かせない。DreamGlass Airは現時点ではプライベートシアターとしての意義が大きく、携帯電話、タブレットおよびパソコンなど全てのデバイスと接続できる上、あらゆるインターネットコンテンツに対応している。「ゴーグルに内蔵したアルゴリズムのおかげで、ユーザーの操作が即時に表示コンテンツに反映され、遅延ゼロをほぼ実現した。今後の5Gネットワークの発展に応じ、ARに特化した動画やゲームなどのコンテンツ開発が進むと信じている」と鍾氏は述べている。

現在のビジネスモデルとしては、主にARゴーグルの販売により収益を得ている。市場が拡大し、ユーザー数が十分に増加した後は、コンテンツ配信や広告投入を新たな収入源としていく計画だ。

同社の創業者である鍾氏は、アメリカでコンピュータビジョン技術の博士号を取得した後、GE(ゼネラル・エレクトリック)社でリード・サイエンティストを務め、数百万ドル規模の科学研究プロジェクトを担当したほか、多数の製品開発にも携わってきた。また同社はすでにエンジェルラウンドで数百万ドル(数億円)を調達している。

IDCのレポートによると、昨年のAR・VRの生産額は178億ドル(約1兆9000億円)に達する見込みで、一昨年の91億ドル(約9900億円)から95%近くの伸びとなった。また世界のAR・VR製品およびサービスの生産額は2017~2021年に同様の伸び率に達し、5年間の平均成長率は98.8%に達する見込み。アップル、フェイスブック、グーグル、マイクロソフトといった世界の大手テック企業が積極的にこの分野に進出している。フェイスブックはARゴーグルを開発中であることを認めているほか、今年の世界人工知能大会(WAIC2019)において、マイクロソフトは第2世代の「HoloLens 2」を披露した。またグーグルやアリババが巨額の出資を行った米Magic Leapもすでに「Magic Leap One」を発表しているほか、写真アプリ「スナップチャット」で知られる米Snapも、今年秋に新型ARサングラス「Spectacles 3」を380ドル(約4万1000円)で発売する予定だ。
(翻訳・神部明果)

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