人工知能(AI)技術の成熟とロボット産業の急速な発展に伴い、人型ロボットは中国の「新たな質の生産力」(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)のコア要素の一つになりつつある。彼らはもはやSF小説や映画の中の空想ではなく、現実世界で活躍している。
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EXDOLLの広報担当、曲妍氏は「年間400~500体のロボットを生産している」と紹介。「私たちのロボットは表情が豊かで、眉毛、目、口も動く。リアルに近く、ユーザーと感情的なつながりを築くことができる」とした。さらに、ロボットは現在、主に博物館や教育分野に利用されているが、価格がお手頃になれば、応用シーンがさらに広がるとの見通しを示した。
ロボット製造を手がける深圳市優必選科技(UBTECH)の最高ブランド責任者(CBO)、譚旻氏は新華社の取材に対し、「私たちは人型ロボットが各産業や一般家庭に浸透するよう尽力している」と紹介。人型ロボットの需要が今後、100億台を超える可能性があるとし、「一人が複数のロボットを所有し、仕事、家事などの作業を分担するかもしれない」と語った。
米金融大手ゴールドマン・サックスによると、世界の人型ロボット市場の規模は、今後10~15年内に少なくとも60億ドル(1ドル=約159円)に達する見通しという。一部の業界関係者や機関は、今後5年で人型ロボットが家事などの場面に導入されると予想する。
中国工業情報化部は2023年10月に発表した「人型ロボットのイノベーション発展に関する指導意見」で、25年までに人型ロボットのイノベーション体系をおおむね形成し、27年までに人型ロボットの技術イノベーション力を大幅に引き上げ、安全で信頼性の高い産業チェーン・サプライチェーン(供給網)を構築するとした。
高齢化や労働力不足などの問題が顕在化するにつれて、人型ロボットは外資企業からも注目を集めている。電気自動車(EV)大手、米テスラは25年、工場に千台以上、または数千台の人型ロボットを導入する計画という。同社は、ロボットが高齢者介護などの医療ケアや在宅介護などの分野で活躍することを望んでいる。
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天津大学機械工程学院の孫濤教授は、「人型ロボットはコンピューター、スマートフォン、新エネルギー車(NEV)に続く画期的な製品となり、生産方法やライフスタイルに大きな変化をもたらし、世界の産業発展構造を再構築する」との見方を示した。 【新華社天津】