ChatGPTでコミュニケーションする作業ロボット、世界の70カ国に展開 中国ベンチャーが資金調達

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

ChatGPTでコミュニケーションする作業ロボット、世界の70カ国に展開 中国ベンチャーが資金調達

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

ロボットアームなどの研究開発を手掛ける中国「大象机器人(Elephant Robotics)」(以下、エレファントロボティクス)がこのほど、プレシリーズBで資金を調達した。清輝投資が主導し、雲卓資本投資も参加した。資金は人型ロボット生産ラインの能力向上と研究開発に使われる。

深圳市で設立されたエレファントロボティクス人は、人の動作を模倣した軽量タイプのロボットアームの開発からスタートし、教育用から専門分野向け、ビジネス用途までカバーした汎用型ロボットアームや人型ロボットを展開する。

これまでロボットの活用分野は産業分野に集中し、人と同じ空間で作業する協働型ロボットアームが主流だった。ただ操作能力や効率に限界があるうえ、費用が高額で設置に時間がかかり、フレキシブル生産ラインでの活用も難しいため、産業分野での利用も限定的だった。

しかしAIの発展に伴い、より多くの業界でロボットの活躍が期待されるようになると、視覚と連動した動作やAIとの連携などロボットに求められるレベルも高まった。

エレファントロボティクスはこうした状況に着目し、軽量クラスのロボットアームから始めて、モーターや減速機などコア部品も自社で開発。それまで空白だった可搬重量1~3キロのロボットアームと関連製品の市場を切り開き、ロボットアームの操作性や機動力、コストパフォーマンスを大幅に向上させた。

単腕ロボットアーム「my Cobot」

双腕ロボットアームも開発し、2つのアームの協働や同期、反転などを可能にするアルゴリズムを搭載した。単腕のロボットアームを2台組み合わせて使うのに比べ、スピードが2倍から3倍速くなっただけでなく、制御プラットフォームが1台ですむため操作性とコストパフォーマンスが格段にアップした。

大規模言語モデル(LLM)が爆発的な進歩を遂げるなか、人型ロボットはAIとロボットの分野における最先端のテーマのひとつとなった。この分野が大手テック企業や投資家などから注目されるようになると、エレファントロボティクスも人型ロボットへの取り組みを進めた。

これまでに人型ロボット「Mercury」シリーズを発表、7軸協働ロボットアーム「Mercury A1」、半人型の双腕ロボット「Mercuty B1」、ホイール付き汎用人型ロボット「Mercury X1」の3種類をそろえている。

「Mercuty B1」

このうちMercuty B1は、ロボティクス向けのChatGPTに最も早い時期に対応した製品だ。高解像度マイクロフォンアレイを搭載し、リアルタイムで音声を収集、AI音声認識によるコミュニケーションという新しい体験を可能にした。

ChatGPTを使った音声コミュニケーションのほか、エレファントロボティクスの全ての製品がAIに対応している。視覚と連動した画像識別AIアルゴリズムのパックや、模倣学習に使用できる遠隔操作のデータ収集デバイスなど専門性の高いAIパックが選べるだけでなく、米エヌビディア(NVIDIA)のロボットシミュレーションを行うアプリケーションツール「Isaac Sim」などにも対応可能だ。

エレファントロボティクスの宋君毅CEOは「我が社の有利な点は、ロボット業界の細かな需要をキャッチして迅速に開発を進められることだ。ユーザー目線からスタートして、本当の意味でニーズを満たすロボット設備を提供し、国内サプライチェーンの強みを生かすことでユーザーを継続的に拡大することができる」と語る。現在、同社の製品は100%自社開発で、原材料も80%を国産化したという。

会社設立当初からグローバル展開することを決め、オンラインとオフラインの代理店販売を組み合わせ、世界の70以上の国と地域で販売しながら多くの販売ルートを作り上げた。中国製のロボットのなかでは、海外出荷量がトップ3に入っている。

エレファントロボティクスは毎年新たに6種類から8種類のロボットを発表し続けている。エヌビディア、米マイクロソフト、米インテルとの全面的協力なども含めインテグレーターとの連携を強化したことで、規格化した製品は急速に各分野各業界に広がり、ロボットの出荷数は累計で2万台を突破した。

宋CEOは、今年初めに車輪付き人型ロボットとして初の製品が完成し、現在引き渡し中で、販売目標の200台を年内に達成するとの見込みを明らかにした。今後もユーザーの希望に応じて製品をブラッシュアップし、量産を実現して、より広い分野で利用されるようにしたいと考えている。

元ファーウェイの天才エンジニア、工場作業も家事もできる人型ロボット発表。「コスト400万円に抑える」

(翻訳・36Kr Japan編集部)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録