全固体電池の実用化を後押し、高性能の硫化物系固体電解質を量産・供給する「固研新材」が資金調達

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硫化物系固体電解質を開発する中国スタートアップ企業「深圳固研新材料科技(Guyan New Materials)」(以下、固研新材)がこのほど、エンジェルラウンドで人合資本(Renhe Capital)から数千万元(数億円超)を調達した。資金は増産に向けた検証や新材料の開発などに充てられる。

2024年4月に設立された固研新材は、全固体電池向け硫化物系電解質の開発・生産・販売を手がけるハイテック企業。高性能の製品を安定供給し、全固体電池産業の発展を後押しすることを目指している。自社開発した硫化物系電解質はすでに年間トン単位で量産されており、年産100トンの生産ラインの建設も進んでいる。

「究極の車載電池」と称される全固体電池は、電解質を現在主流の液体から固体材料に変えたもので、安全性やエネルギー密度が高く、ハイパワーで温度変化に強いなどの特性から、次世代電池の筆頭に挙げられている。

全固体電池は電解質の種類によってポリマー系、硫化物系、酸化物系の3つに大別され、それぞれにメリット・デメリットがある。このうち最も期待されているのが硫化物系で、トヨタ自動車のほか、韓国のLGエナジーソリューションやサムスンSDI、中国の国軒高科(Gotion High-Tech)がいずれもこの電解質を採用している。車載電池大手CATL(寧徳時代)のチーフサイエンティスト呉凱氏によると、現時点で開発が進んでいるのは硫化物系電解質で、ポリマー系や酸化物系よりも先に量産に至る可能性が大きいという。

固研新材の創業者、劉威CEOは「設立当初から硫化物系に照準を合わせ、独自に開発を進めてきた。多くの技術的問題を解決して完成した製品は業界トップクラスの性能を誇り、すでに安定供給を実現している」と語る。

固研新材は電池開発を手がける「広東馬車動力科技(Mache Power)」から生まれた企業で、堅実な開発基盤を持ち、これまでに10件余りの特許を出願するなど特許体制を整え、他社を寄せ付けない技術的な強みを築きあげた。

劉CEOによると、同社では市場のニーズに応じてさまざまな機能を持つ硫化物系電解質を豊富にそろえており、まとまった量を安定して供給できているという。すでに複数の企業に販売しており、継続的な受注を獲得している。

陳傑CTOは東京工業大学の博士課程を修了し、馬車動力科技などで硫化物系電解質の開発責任者を務めた経歴を持つ。スタートアップの立ち上げや運営の経験が豊富な連続起業家だ。

今年に入って、中国では広州汽車(GAC)やCATL、国軒高科など多くの企業が全固体電池の量産スケジュールを続々と公表しており、産業化に向けて大きく弾みがついている。劉CEOは、全固体電池の開発が急速に進むのに伴って、世界的な競争が日増しに激化していると語る。そのうえで、同社は硫化物系電解質に特化した中国でも数少ない企業として、今後もコスト削減や生産能力の向上に励み、中国の全固体電池開発企業を強力にサポートし、共に大きな価値を創出していきたいとした。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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