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中国のロボットメーカー「雲跡科技(Yunji Technology)」が打ち出すホテル向け多機能ロボット「UP」に注目が集まっている。UPは、モジュールの載せ替えで、一台で異なる作業に当たることが可能となる。しかも、マルチモーダルモデルやエンボディドAI(身体性を有する人工知能)、新型センサーフュージョン、自律制御システムなどを活用し、人間のニーズをよく理解して与えられたタスクを実行できる。
雲跡科技の応甫臣・最高技術責任者(CTO)は「新製品UPの開発では、エッジ側(ロボット)の演算性能に注力し、国内大手の半導体チップメーカーと協力して高い演算能力を持たせた。スマートフォン用の演算能力を商用サービスロボットに応用することで、コストを抑えることに成功した」と説明する。
エンボディドAIをサービスロボットに応用するには、ロボット本体に高い通信能力が求められる。スマホやスマートデバイスなどとの通信を確立したり、クラウド側で運用状況のモニタリング・診断・改善を図ったりする必要もある。
ロボットがエレベーターに乗った際など、通信の安定性を確保するのが難しい場合もある。雲跡科技は、4Gと5Gに対応する多重通信システムを用い、複数のAIが自律的に働く「群知能」がスムーズに協調できるようにした。また、安定的な無線通信ネットワークを確保することで、多機能ロボットUPの本体と各種アタッチメントに適切な形でタスクを割り当てられるようになった。
多機能ロボットUPは、起伏のある場所や狭い通路の走行、エレベーターが止まっているなど予期せぬ事態への対応が可能となっている。また、ロボット本体には、雲跡科技が自社開発したセンシングモデルとAIビジョンシステムが搭載されており、荷物ボックスや料理配達ボックスのほか、清掃や消毒、ゴミ回収などのモジュールを走行ユニットに取り付けて、場面に応じて使用することができる。
ホテルでは、朝はモーニングサービスを客室に届け、午前中に客室清掃を済ませ、午後はフードデリバリーの配達や公共スペースの清掃にあたる。複雑な役目をこなしながら、安定した稼働と長寿命を実現したことは特筆すべきだろう。しかも、ロボットには相互学習機能があるため、1台のロボットが特定の環境を正確に学習したあと複数のロボットにデータを転送し、全てのロボットがデータを共有できる仕組みとなっている。
同社のロボットはすでに、世界的なホテルグループでサービスを提供しており、中国では上位10社のホテルグループの8割以上に導入されている。今後は、国内市場の拡大を急ぐと同時に、海外展開もさらに進めていく方針。現在は、米国や日本で市場調査をしている段階だという。
(翻訳・田村広子)
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