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中国の自動車エアサスペンションメーカー「孔輝汽車科技(KH Automotive Technologies)」(以下、KHオートモーティブ)がこのほど、シリーズD1で4億5000万元(約95億円)を調達した。出資には、自動車大手・広汽集団(GAC Group)系列のファンドと中国銀行( Bank of China)傘下の中銀資産(BOC Asset Investment)が参加。資金は、生産能力の拡大と新製品の開発に充てられる。
KHオートモーティブは2023年9月に、シリーズCで招銀国際(CMB International)と国投招商(SDIC Fund)から3億4000万元(約70億円)を調達。今回を含めた5度の資金調達で、調達額は計15億元(約320億円)近くに上った。
2018年に設立されたKHオートモーティブは、電子制御サスペンションの分野で急成長している企業だ。同社によると、主力製品のエアサスペンションは24年1~7月の中国市場シェアがトップの40.3%に達した。
エアサスペンションはここ数年、電気自動車(EV)で特に注目されている部品の1つだ。剛性と減衰力を調節できない従来のサスペンションに比べ、エアサスペンションは車両の特性に合わせて、荷重や振動数が変化しても乗り心地や操作性を保つことができる。また、乗り降りのしやすさ、悪路でのシャシー保護、省エネといったニーズに応えられ、100万元(約2100万円)クラスの輸入高級車にしか搭載されていない時期もあった。
EVの普及に伴い、乗り心地に対する消費者の要求は高まっており、各メーカーはハイエンド品のエアサスペンションを重視し始めている。
東風汽車(Dongfeng)のEVブランド・嵐図(VOYAH)は2021年6月、エアサスペンション搭載の「嵐図FREE」を40万元(約840万円)以下で発売した。嵐図に製品を供給するKHオートモーティブは、中国で初めて量産を実現したエアサスペンションサプライヤーとなった。
その後、EVメーカーの理想汽車(Li Auto)からエアスプリングを受注したほか、吉利グループが展開するEVブランド・極氪(ZEEKR)の「009」「001」への製品供給も決まり、中国初のデュアルチャンバー・エアスプリングの量産サプライヤーとなった。さらに、長安汽車傘下で2024年に発売された「深藍(Deepal)G318」にも搭載され、エアサスペンション搭載車の価格が初めて20万元(約420万円)を切った。
すでに主要メーカーの19車種ほどが、同社のエアサスペンションを採用しているという。2024年9月時点で、同社のエアサスペンション出荷台数は60万台を超えた。
KHオートモーティブの郭川会長によると、同社は今年前半にフォルクスワーゲンの品質管理基準・Formel Qに合格し、グローバルサプライヤーに選ばれた。また、フォルクスワーゲン安徽にデュアルチャンバー・エアスプリングを、上汽(SAIC)アウディにはクローズド型バルブポンプシステムを供給することも決まったという。国産ブランドから合弁メーカーまで、同社の認知度は急速に上がっている。
クローズド型バルブシステムは、従来のオープン型バルブシステムに比べ、低コスト、低騒音、軽量で、過度の湿気が引き起こすシステムの故障を防ぐ。
新製品のクローズド型バルブシステムは、3〜4件の自動車生産プロジェクトに指定部品として採用され、来年4~6月に量産が開始される予定だ。バルブシステムは、エアサスペンションシステムにおいて重要な役割を担う。
同社は製品ラインの拡充と並行して、海外市場の開拓にも目を向けている。郭会長は「2026~27年に海外の自動車メーカーへ製品を供給し始める計画だ」と話した。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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