「博物館経済」が台頭、大英博物館のIPライセンスを独占する「品源文華」が約17億円を調達

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「博物館経済」が台頭、大英博物館のIPライセンスを独占する「品源文華」が約17億円を調達

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情報によると、文化・芸術関連のIPのライセンシングと運営を専門的に行う「品源文華(ALFILO BRANDS)」は、シリーズA+で1600万ドル(約17億円)の資金調達を行った。セコイア・キャピタル中国と「Two Point Oファンド」が中心となり、オランダのZephyr Capitalも出資した。

品源文華は現在、大英博物館、メトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館、ナショナル・ギャラリー、ボストン美術館、BBC Earthという世界トップレベル6機関のIPのライセンスと運営権を取得済みだ。同社はIPを買い取る形で、グレーターチャイナ(大中華圏)での長期的な独占的運営権を確保している。また、大英博物館の北米地区における独占的運営権も取得している。

近年、博物館の所蔵品を使用したグッズ開発が盛んになってきている。2017年、故宮の文化クリエイティブ産業による売上高は15億元(約230億円)に上った。故宮の成功がほかの博物館にも波及し、現在中国では2500以上の博物館、美術館、記念館が所蔵品を使ったIPの開発をしている。

消費者の反応も上々だ。2018年、中国の博物館の来場者は延べ10.08億人となり、調査によれば60%近い消費者がグッズを購入したいと回答しているという。Eコマースサイトの「天猫(Tmall)」のデータによれば、この2年間で「博物館」の検索数は2.15倍になり、同サイトでの博物館に関する購入金額は2倍以上に伸びた。

大英博物館の天猫店の売上高は同サイトの博物館カテゴリーで第2位につけており、フォロワー数は94万だ。このショップは2017年7月に開設されたもので、品源文華が商品開発、製造、販売の全プロセスを担当しており、現在約200 SKUを提供している。商品開発のほか、IPのライセンシングも品源文華の業務の重要な一環だ。現在すでに上海、広州、深圳など大都市のデベロッパーと提携し、博物館の体験施設を7カ所開設している。

品源文華は上海とロサンゼルスにIP開発チームを設置しており、毎年世界的なトレンドや博物館の学芸員との交流に基づき、7~8のテーマを選定し、テーマに沿った所蔵品を選び素材となるイメージギャラリーとテキストを制作する。毎年1000SKU以上の素材を制作しており、企業はそこから使いたいものを自由に選ぶことができる。

上:Perfect Diary x メトロポリタン美術館  下:大英博物館のオフライン体験イベント

中国国内でIPライセンシングと運営をしている同業者と比べ、品源文華の強みは世界トップクラスの博物館のIPを独占的に取得できる点にある。国内の博物館には、IPを細分化しすぎてしまい、共食い状態になっている事例もある。

品源文華の創業者何一賛氏によると、海外の博物館はあまり商業化された運営をせず、収入の大半を国からの拠出金や寄付金、入場料に頼っている。近年各国が博物館関連の予算を削減していることもあり、博物館は別の収入源を確保したいと考えているが、それでも慎重な態度を崩しておらず、多くの事業者を拒否している。

品源文華はすでに海外のIPライセンシングに従事して6~7年が経っている。初めはハリウッド作品のIPを中心にしていた。しかし、映像作品のIPのライフサイクルは短く、開発における制限も多い。2016年、大英博物館の関係者と知り合う機会を得た何一賛氏は、大英博物館の200年以上の歴史と800万点の所蔵品という数字に触発され映像作品のIPから文化・芸術関連のIPへの転換を始めた。こうした長年の経験があるからこそ、品源文華は世界トップクラスの博物館を説得できたのだ。

しかし、IPの取得は第一歩でしかない。IPがもたらすのはあくまで付加価値であり、本質は同カテゴリーの商品との販売競争だ。そのため、イメージギャラリーの開発、パートナーの選定、製品の品質コントロールなど、すべてが重要となるだろう。
(翻訳:小六)

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