「ファン経済」を狙う「Owhat」 応援プラットフォームから、アイドルを売りにソーシャルECへ事業拡大

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アイドルやスターのファンである女性ならきっと「Owhat」というアプリに馴染みがあるはずだ。

Owhat創業者の丁潔氏は早くも2014年に「ファン経済」に目をつけ、比較的手付かずだった「ファンの応援」という領域からビジネスに切り込んだ。ファンにアイドル応援のためのツールを提供することで、1000万人規模のユーザーを獲得。昨年放送された「偶像練習生(Idol Producer)」と「創造101(Produce101中国版)」という二つのアイドル養成番組によって業界外からも注目を集めるようになっている。

そのOwhatが今、方向転換を図ろうとしている。

「ファンの応援」というタグを外そうとしているのだ。ファングループをベースに大衆への訴求を狙い、アイドルのライフスタイルやショッピングをシェアするプラットフォームへの転換を進めている。Owhatは仏の有名ファッション雑誌「Jalouse(ジャルース)」の中国版権を購入し、方向転換の切り口としている。同誌は仏最大のファッション関連出版社「Gallo publishing group」が1997年に創刊したものだ。

「Jalouse China」創刊号のカバーを飾ったのは女優の鄭爽や歌手で韓国男性アイドルグループEXOの旧メンバーである黄子韜(ファン・ズータオ)、人気グループ「BlackPink」で、9月28日に正式に発売された。予約限定販売分の10万部は9月20日に完売している。これを機に、丁氏に方向転換の理由と将来的な計画を聞いた。

「感情による消費」に照準

「中国のアイドル業界はいまだ発展途上で、我々はずっとこの業界だけに留まるのではなく、外に踏み出して改革をしたい」と丁氏は方向転換の理由を明かした。

Owhatのユーザーはこれまでずっとファングループが占めてきた。すでに5000を超えるファングループがあり、月間アクティブユーザー(MAU)は200万人以上に達している。しかし資金面や関連政策を考慮した同社は、特定のユーザーグループや業務に依存しすぎるリスクを感じた。そのため厳格なリスク管理システムを構築し、「応援」分野の割合を低下させ、業態転換を図ることが目下急務となっている。

丁氏はまた、アイドルを追いかける現代の若者、特に若い女性は典型的な「感情的消費」を行うと考えている。「第一財経ビジネスデータセンター(CBNData)」の発表したリポートによると、90後(90年代生まれの若者たち)はアイドルと同じものを購入することを特に好み、女性の消費がそのうちの4分の3を占めるという。

「アイドルと同じもの」はOwhatがコンテンツECに転向する切り口の一つにもなっている。アイドルのライフスタイルを真似するのはファンだけではない。例えばNana(欧陽娜娜、台湾のインフルエンサー)のファンでなくても若い女性たちは彼女のコーディネートを見るのが好きだ。しかし今ユーザーが情報を得るチャネルはかなり分散しているという。

Owhatはファンの視点でこれらの分散したコンテンツを再構築したいとしている。コンテンツと商品選択を担当するチームは、ネット上からアイドルの日々のコーディネートやおすすめの日用品などの情報を取得、再編集してから発表し、プラットフォーム上で同モデルを販売する。9月のアップデート以降、プラットフォームにはコスメや流行りのファッションブランドなど、アイドルのライフスタイル関連商品が3000SKU以上増えた。ファンが注文すると、同社のバイヤーチームが仕入れと発送を行う仕組みだ。

しかし、これではアリババ傘下のECモール「タオバオ(淘宝網)」と競争することになるのではないか。これに対し丁氏は「現段階ではユーザーにOwhatの習慣的な利用を促すことが狙いで、取引には重点を置いていない」と語った。

昨年、同プラットフォームのGMV(流通取引総額)は6億元(約90億円)に達し、今年は10億元(約150億円)に達する見込みだ。SKU総数は6万以上。現在のところGMVで大きな割合を占めているのが、ファンイベントのチケットや公式あるいはファンオリジナルの関連商品であり、Owhatの自社商品は少ない。

過去5年間でOwhatは芸能人による宣伝やエンターテインメントマーケティング、音楽制作、関連商品の開発などの業務で多くの芸能プロダクションと密接な関係を築いてきた。

丁氏は「これは他のECプラットフォームにはない大きな強みだ」とする一方で「競争の激しいEC分野への方向転換を成功させるにあたり、まだ多くの試練に立ち向かわなければならない」と語った。
(翻訳・山口幸子)

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