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業務用サービスロボットは、これまで人手に頼っていた作業を代替し、効率向上と顧客体験を高める重要なツールとなりつつある。製造業大国の中国は、この分野でも技術・量産・コストの面で強みを発揮している。
上海に拠点を置く「擎朗智能(KEENON Robotics)」はその代表格で、同社が開発した配膳ロボットや案内ロボットは海外市場で大きな成功を収めている。米ワシントンにあるシェラトンホテルのロビーでは、身長1.2メートルのサービスロボット「T5」が宿泊客の間を器用にすり抜けてエレベータに乗り、客室にモーニングサービスを届けに行く様子を見ることができる。
KEENON Roboticsは2016年に最初の業務用サービスロボットを発売。新型コロナウイルスの流行で非接触サービスの需要が高まった21年には、いち早く海外展開に踏み切った。同社のロボットはすでに、米国やドイツ、英国、カナダ、韓国、シンガポール、そして日本など60カ国以上のレストランやホテル、病院などで活躍している。
そして現在、KEENON Roboticsはグローバル展開の次の段階としてローカライズに取り組んでいる。最高技術責任者(COO)の万彬氏によると、海外市場への参入に成功するだけでは不十分で、地域ごとに異なる文化や市場ニーズを深く理解する必要があるという。
例えば、日本料理と韓国料理を一緒くたにする向きもあるが、両者には大きな違いがある。韓国の焼肉や石焼ビビンバといった料理は、器が重く大きい上に油の量も多い。一方、日本料理は洗練された小ぶりな器で提供される。料理を提供する順番やスタッフがテーブルに来る頻度も違う。もちろん、中国料理や西洋料理の提供方法もそれぞれ異なる。こうした習慣が、配膳ロボットの設計や運用に関係してくる。
KEENON Roboticsは、レストランやホテル向けのサービスロボットでは世界共通モデルを展開しているが、医療やリハビリ向けでは現地の代理店と協力し、現地の基準に合わせてロボットに微調整を加えている。
中国の業務用サービスロボット企業は、すでに飽和している国内市場を飛び出し、海外市場に向かっているが、そこでも地元企業との競争が待ち受けている。しかし、KEENON Roboticsには競争に打ち勝つだけの実力がある。独自開発したコア技術、国内での大規模生産、そしてロボットの汎化能力が大きな強みだ。同社は国内事業を通じて得た膨大なデータを用いてロボットをトレーニングし、あらゆるシーンで自律的な判断と作業ができるようにした。
KEENON Roboticsは2022年に国際事業部を設立しており、現在の売上高は国内と海外で半々だという。調査会社IDCによると、同社は中国国内の業務用ロボット市場でシェア60%の最大手となっている。
日本でも、擎朗智能の業務用サービスロボットに注目が集まる。2024年7月27日には、テレビ朝日の「町工場ワールド頂上決戦 匠-TAKUMI-」で放送された「日本vs中国 配膳ロボット障害物競走」に同社の配膳ロボット「T8」が出場し、3分53秒でコースを完走して日本の配膳ロボット「カチャカ」(4分2秒)に勝利した。
(翻訳・田村広子)
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