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インド経済紙「ミント」系列のニュースサイト「Livemint」によると、インド決済公社(NPCI)は同社が開発したモバイル決済プラットフォーム「Unified Payment Interface(UPI、統合決済インターフェース)」を利用する電子決済アプリについて、市場シェアの上限を33%に設定することを検討しているもようだ。
NPCIはUPIによる銀行間のシームレスな決済の実現を目的として、インドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)主導で設立された。これまでに銀行もモバイル決済アプリをリリースしてきたものの、利用率は高くなかった。このため、インド準備銀行は2年前、米グーグルなどの民間企業がUPIを活用してインドの決済市場に進出することを認めた。
この2年間、インド政府はデジタル取引の推進に力を入れ、それが米国や中国の企業に大きなビジネスチャンスをもたらした。米調査会社の「Sensor Tower」によると、2018年にダウンロード数が世界で最も多かったフィンテックアプリは米グーグルのモバイル決済アプリ「Google Pay」と、米小売大手ウォルマート傘下のインドEC大手「Flipkart」系列の決済サービス会社が手掛けるアプリ「PhonePe」だった。また、これら2つのアプリがインドでUPIを活用した取引の3分の2以上を占め、アリババが出資するインドの決済サービス「Paytm」は昨年末、トップの座を明け渡し、第3位に沈んだ。NPCIのモバイル決済アプリ「BHIM」を含むその他決済アプリの市場シェアも浸食されつつある。
インドはモバイル決済市場を外国の大手企業の手から奪い返したい考えだ。Livemintによると、決済アプリの市場シェアに対する上限設定が実現すれば、インドの科学技術分野において独占を禁止するこれまでで最も重要な措置になるとみられる。
グーグルインド部門の上層部はこの案に反対の意を表明している。イノベーションを抑えつけ、インドのデジタル化を進める政府目標に反しているとし、さらに消費者が好きなアプリを選ぶことができなくなると訴えている。
インド市場でトップシェアを誇るのはGoogle Payだ。インド進出は2017年9月と遅い方だったが、急速にシェアを伸ばした。Paytm、PhonePe、BHIMなどの決済アプリはいずれもUPIを利用しているが、それでも2017年8月のUPIを利用した月間決済件数は1600万件にとどまっていた。その翌月、Google Playがインドに進出し、UPIの月間決済件数は3000万件に倍増。同年11月には1億件を突破し、1年後には5億件に膨らんだ。NPCIによると、今年9月の月間決済件数は9億5500万件となっている。
決済アプリの市場シェアに上限が設けられるようなことになれば、市場に参入している主力企業が打撃を受けることは避けられない。グーグル、ウォルマート、アリババだけでなく、モバイル決済サービス「Mi Pay(小米支付)」を手掛ける中国のスマホメーカー、シャオミにも影響が及ぶだろう。
(翻訳・池田晃子)
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