薄くて軽いペロブスカイト太陽電池に注力 業界初の屋外実証プロジェクトも進行中:中国・大正微納

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これまでの太陽電池の欠点を解決する次世代の技術として「ペロブスカイト太陽電池」が注目を集めている。2018年11月に設立された中国の「大正微納(DaZheng)」もこの新技術に注力するハイテク企業だ。軽量フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池モジュールと関連精密機器の製造を専門とし、変換効率の世界記録を何度も更新してきた。

大正微納は国産のコア材料を使用し、主要な量産設備を自社開発したうえで、2023年7月に業界初となる軽量フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池の屋外実証プロジェクトを立ち上げた。環境や気候の変動が反映された年間の発電量データを取得し、フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池の実用化における確固たる基盤を築いた。

同社は2024年から2025年にかけて、福建省アモイ市の製造拠点に100MWの生産ラインを建設し、25年に量産を実現する計画だ。大面積モジュールの生産能力は年間80万平方メートル以上になる見込み。

100MWの生産ラインを軌道に乗せた後には、GWクラスの生産ライン建設に向けた資金調達を計画している。

大正微納のペロブスカイト太陽電池生産ラインの調印式 (企業提供)

ペロブスカイト太陽電池は、現在の主流のシリコン系太陽電池に比べて理論上の変換効率が高く、コストが低いというメリットがある。シリコン系太陽電池の変換効率が次第に限界値に近づくなか、これからの太陽電池技術としてペロブスカイト太陽電池が大きな期待を集めている。

ペロブスカイト太陽電池には、大きく分けてフレキシブル型とソリッド型の2つのタイプがある。大正微納が注力しているフレキシブル型は、薄型軽量で柔軟性に優れているため、さまざまな場面で手軽に導入できる。現在、大正微納のフレキシブル型モジュールは、国内外の街灯、建物の外壁、デジタル機器などに活用されている。

フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池の活用シーンとして最も有望視されているのが、建築材料に太陽光発電モジュールを組み込んだ「建材一体型太陽光発電(BIPV、Building Integrated Photovoltaics)」だ。その潜在市場は1兆元(約21兆円)規模に達するともいわれる。シリコン系太陽電池は1平方メートルの重さが十数キロになるため、建材として用いるのは難しい。薄くて軽いフレキシブル型ペロブスカイト太陽電池だからこそ可能になる。工場の壁面に直接貼り付ければ、大きな省エネ効果が見込める。

しかし、フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池は技術的な難度が高い。大正微納の共同創業者・馬晨会長は「フレキシブル型ペロブスカイト太陽電池を生産するにあたり、コスト削減と安定性の向上という2つの問題を解決する必要がある。我が社は設立当初からサプライチェーンの統合を進め、フレキシブル導電性基板などの原材料や製造装置の国産化を実現した結果、製品の生産コストを大幅に削減し、製品の競争力を高めることができている。我が社の100MWフレキシブル型ペロブスカイト太陽電池の生産ラインも世界初だ」と述べた。

屋外に設置された大正微納のフレキシブル型ペロブスカイト太陽電池 (企業提供)

100メガワットのフレキシブル型ペロブスカイト太陽電池の生産ラインの建設は、ペロブスカイト太陽電池の量産に向けた重要な第一歩と言える。

馬会長は、初期にはフレキシブル型の生産コストがソリッド型よりもかなり高かったものの、原材料を一括購入して価格を抑えるなどすれば、将来的にフレキシブル型の生産コストもソリッド型に近づいていくとしている。

大正微納は2023年にシリーズA1で数億元(数十億円超)を調達した。現在はシリーズA2を開始しており、みずほフィナンシャルグループと深圳力合科創集団が共同設立した瑞穂力合基金と、著名な産業投資機構が共同で出資に参加している。

*1元=約21円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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