米玩具大手「ファンコ」、中国市場の開拓に注力 北京や上海など一線都市に体験型店舗

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中国上海市でこのほど開かれた玩具の見本市「第22回中国国際玩具・教育設備展覧会」で、米国玩具メーカーのファンコは産業パークの運営や日用化学品事業を手がける中国企業、柏亜集団(BOYA GROUP)と手を組み、中国市場の開拓に力を入れると発表した。

ファンコは1998年に設立されたコレクター向けのポップカルチャーグッズに特化した玩具メーカーで、昨年の世界売上高は80億元(1元=約21円)に迫る。アジア太平洋地域部門の販売担当バイス・プレジデント、アンディ・クレムソン氏は中国市場開拓に力を入れるとの決定を下した理由について、世界のポップカルチャーに対する中国消費者の受容性がますます向上し、多国籍企業にとって中国市場の重要性が高まりつつあるためだと説明した。

柏亜集団によると、同社は中国市場におけるファンコの協力パートナーとして、中国の重点電子商取引(EC)モールに旗艦店を出店するほか、ファンコと共同で中国の一線都市(北京、上海、広州、深圳の4都市)にアートトイの体験型店舗も開設し、ファンコのブランドストーリーと魅力を展示するという。

23年の中国国内市場の玩具(アートトイとコレクショントイを含まず)の小売販売額は前年比2.7%増の906億9千万元だった。中国玩具・嬰童(ベビー)用品協会は最新リポートで、世界経済の減速が続く中、ファンコをはじめとする多国籍玩具メーカー大手が中国市場の開拓に力を入れる原因について、中国の玩具消費市場が持続的に成長しているためだと分析している。

同協会の統計によると、23年の中国の玩具(ゲームを含まず)輸入額が最も多かったのは上海の2億4600万ドル(1元=約153円)で、中国の玩具輸入全体の35.8%を占めた。2位は広東(2億3500万ドル)、3位は浙江(1億4400万ドル)で、この1市2省で玩具輸入額全体の90.9%を占めた。これは多国籍玩具企業にとって、上海を中心とする長江デルタ地域(上海・江蘇・浙江・安徽1市3省)地域と広州・深圳を中心とする珠江デルタ(広州・仏山・肇慶・深圳・東莞・恵州・珠海・中山・江門9市)地域が中国市場開拓の重心を置く地域となることを意味する。

消費者に最も人気があるぬいぐるみを例にとると、23年に中国市場で最も売れたぬいぐるみは200元~399元と100元~199元の価格帯に集中していた。その理由はこの二つの価格帯の売れ筋商品が、主に知的財産権(IP)のライセンスを活用して商品化されたキャラクターグッズとなっていることだと考えられる。これはファンコをはじめとする多国籍玩具企業が映画やテレビ、ゲームのポップカルチャーおよび関連ブランド資源を活用し、中国の相応する消費者層をさらに開拓できることも示唆している。

同協会のサンプル調査によると、中国では世帯所得が15万~30万元の消費者はブロックを購入する割合が35.0%と最も高かった。8万~15万元ではぬいぐるみとミニチュアグッズの割合が41.8%で最も高かった。製品の「安全性」と「価格」という二つの重要ポイントを除くと、中国の消費者が玩具を購入する際に考慮する要因のトップは「教育性」だった。

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(新華社上海)

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