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建設ロボットの開発を手がける中国スタートアップ企業「南京筑領科技(Nanjing Zhuling Technology)」がこのほど、プレシリーズAで1000万ドル(約15億円)を調達した。出資は順為資本(Shunwei Capital)が主導し、既存株主の藍馳創投(Lanchi Ventures)や北京韓建集団も参加。資金は、チームの拡大や製品ラインの拡充、生産システムと販売チャネルの構築に充てられるという。
筑領科技は2022年に設立された。建設ロボットの開発と活用に特化し、建設ロボット本体と中核部品の開発、および技術プラットフォームの提供という2つの事業を展開する。同社の戴安剛CEOは中国のロボット業界の発展に大きく貢献している著名な専門家で、博智林機器人(Bright Dream Robotics)の副会長として建設ロボットの開発を率いたほか、中国トップのロボットメーカーの副社長や主任技師を長らく務めた。現在メンバーは約40人、うち研究開発担当が6割を超える。
戴CEOによると、中国の建設産業は生産高が年間31兆元(約650兆円)を超え、ここ5年間の年平均成長率は約7%だ。需要は依然として非常に大きいが、施工現場は高所からの墜落や粉じん、大きな騒音、有害な化学物質といった危険の多い作業環境のため、建設業務労働者はここ5年間に毎年平均で約150万人ずつ減少している。工業分野に比べて建設業の自動化が大きく遅れをとる中、筑領科技は、ディープラーニング技術とマルチモーダル人工知能(AI)を搭載したロボットの導入を通じた「施工現場の無人化」を目指しており、特に内装工事スマートロボット汎用プラットフォームの構築に力を注いでいる。
中国の住宅都市農村建設部(住建部)は2022年に発表した「建築業発展の第14次5カ年計画」で、新型センサーやスマート制御・最適化、ロボットの連携、人とロボットの協働など建設ロボットに関するコア技術の開発強化や、主要な技術標準の検討・策定、建設ロボットの代表的製品の確立を促した。
筑領科技が照準を合わせたのは床タイル施工市場。戴CEOによると、中国の床タイル消費量は年間30億平方メートルあまりに上り、人件費は年間1500億元(約3兆2000億円)と高い水準にある。
床タイルを施工する労働者は、体力を消耗するだけでなく、作業に細心の注意が求められる。毎日、セメントを混ぜてタイルを貼る必要があるうえ、隙間なく敷き詰め、浮きや傾きが生じないように気をつけなければならない。
中国では床タイルの施工を夫婦で請け負うことが多く、妻が夫を手伝って1日に10時間ほど作業をしても、施工面積は20〜25平方メートルにとどまるという。
床タイル施工市場の人手不足や効率の低さといった課題に対し、同社は床タイル施工ロボットを開発した。30平方メートル以上の床にサイズ800×800ミリ、600×600ミリ、1200×600ミリのタイルを自動で貼り付け、タイルセメントの塗布も同時に行う。
床タイル施工ロボットは、レーザー型ナビゲーションや全方位移動シャーシ、位置決めシステム、目地測定システム、振動4点分散システム、接着剤塗布システムなどを搭載し、凹凸のある地面での施工精度を高め床タイルの浮きを減らすことで、施工の質を向上させる。
戴CEOは床タイル施工ロボットについて、事前に部屋の間取り図を読み込んでから現場で室内と周辺の環境を自ら学習し、施工経路を自動で設定すると説明した。ユーザーは特別なリクエストがある場合、ロボットに手動でパラメータを入力できる。一般住宅なら8時間で70〜80平方メートル、ビルなどでは100〜120平方メートルの施工が可能だという。
筑領科技はこれまでに中国建築第八工程局(CCEED)、上海建工(Shanghai Construction)、広州建築(Guanzhou Architecture)、金螳螂(Gold Mantis)など中国トップクラスの建設会社と提携し、同社のロボットによる施工面積は累計50万平方メートルを超えた。
海外市場の開拓も計画している。戴CEOによると、同社はすでに香港およびシンガポールに参入しており、市場での検証後に欧州や中東エリアを開拓する方針で、将来的には中国と海外の売上高比率を50%ずつとする見通しだ。香港には子会社も設立している。
さらにロボットの開発に加え、電子制御システム、センサー、操作システム、コントローラーなど建物の床工事に関する中核部品事業を拡大している。その中で、同社が独自に開発したコントローラーを導入すれば、建設ロボットにナビゲーションや位置決め、移動などの機能を搭載できるという。
戴CEOは、提携企業の増加と製品の納品が進めば、25年は大量供給が可能になるとの見通しを示した。
*1ドル=約153円、1元=約21円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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