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このところ、大いに注目されている人型ロボットの開発では、より人に近いロボットを実現するうえで触覚センサーが鍵を握っている。 多次元触覚センシング技術を手がけるスタートアップ企業「帕西尼感知科技(PaXini Tech)」は、この技術を駆使してロボットが人間に近い知覚を持てるよう力を注いでいる。
人型ロボットの開発は、両手の正確な制御抜きには語れない。 ロボットの 「皮膚」にあたる触覚センサーは、ロボットと対象物の感触や状態をリアルタイムで感知し、視覚センサーよりもタイムリーで正確なフィードバックを提供するため、器用な手の動きを調整するのに役立つ。これは柔らかいものや、壊れやすいもの、複雑な形状のものを扱う場合に特に重要となる。
技術の進化に伴い、精度や感度の低い従来の触覚センサーでは、もはや市場の需要を満たすことはできなくなった。 ハイエンドの触覚センサーは欧米企業が市場シェアの80%以上を占めており、中国産触覚センサーの普及を進めることが重要な課題となっている。
帕西尼感知科技のソリューションでは、人型ロボットや先端製造業のニーズを満たせるハイエンドの触覚センサーを打ち出している。
帕西尼感知科技の製品は多次元触覚センサー、多指多関節のロボットハンド、人型ロボットに至るまで幅広い範囲をカバーしている。2024年の世界ロボット大会(WRC、World Robot Conference)では、第2世代の多次元触覚人型ロボット「TORA-ONE」、第2世代の多次元触覚ロボットハンド「DexH13」、そしてITPU(Intelligent Tactile Processing Unit)技術に基づいた多次元触覚センサー「PX-6AX GEN2」を発表した。
TORA-ONEは、DexH13とPX-6AX GEN2を活用した自由度の高い人型ロボットである。ロボットハンドのDexH13は、触覚と視覚を組み合わせた市場初の4本指ロボットハンドだ。 片手の自由度は13で、 持ち上げる、つまみ上げる、溶接などの作業をこなすだけでなく、つかみ取ったり回転させたりするなど人間の手のように複雑な手の動きで、優れたパフォーマンスを発揮する。
DexH13の2本の手は、自社開発した高精度の触覚センサーPX-6AX GEN2を約2000個搭載しており、超高解像度で圧力感知、摩擦、質感など15種類の検知が可能だ。また、800万画素の高解像度AIカメラが搭載されており、高度な視覚アルゴリズムに基づいて、物体の6次元姿勢検出を行い、物をつかむことができる。 この視覚と触覚の組み合わせにより、ロボットは複雑な環境や作業に適応することができる。
TORA-ONEは47自由度のモジュール(胴体が21、4本指ロボットハンドが26)で構成され、片腕の耐荷重は5キログラム。高度なモジュール構造を採用した脚部と胴体は安定性が高く、腰部の可動設計により、身長1.46〜1.86メートルの範囲で柔軟な伸縮が可能。
運動性能に優れたロボットシャシーを備えており、360度全方向への移動が可能なため、物が複雑に配置された現場や動きの多い作業環境でもスピーディーに移動できる。最大速度は秒速1メートル、稼働時間は最長8時間に及ぶ。
またTORA-ONEのシャシー部分には、LiDAR SLAM測位ナビゲーションシステムも搭載されており、複雑な3次元環境でも正確に位置を特定し、さまざまな対象物や位置情報を正確に把握できるほか、最適な経路計画や障害物回避が可能になり、生産効率と作業の安定性を大幅に向上させることができる。
現在、TORA-ONEは、工業生産、医療・ヘルスケア、倉庫管理・物流などの多くの場面の作業に適応することができる。 例えば精密機器の組立工場に導入すれば、TORA-ONEが触覚センサーとマルチモーダル知覚モデルに基づいて、部品の形状、大きさ、材質などの情報を素早く検知・判断し、器用な手つきで精密部品の組み立てを完了し、指定の場所まで搬送することができる。
技術の向上に伴い、人型ロボットの活用シーンはさらに広がり、最終的には単純作業から、より複雑で柔軟性が求められる作業へと移行していくと予想される。
英調査会社オムディアのレポートによると、人型ロボットの世界出荷台数は2027年までに1万台を超え、2030年までに3万8000台に達し、2024年から2030年までの年平均成長率は83%に達する見込みだという。
(36Kr Japan編集部)
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