中国の人型ロボット、洋上風力発電や災害救援などの特殊分野で活用加速

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人型ロボットを開発する「月泉倣生」がこのほど、プレシリーズAで約1億元(約21億円)を調達した。 洪泰基金(Hongtai Aplus)が出資を主導し、長興基金と中関村啓航基金も加わった。 資金は主に、人型ロボットの研究開発や商用化などに使われる。

月泉倣生は、中国科学院のメンバーでもある吉林大学の任露泉教授のチームによって設立され、2023年6月に運営を開始した。 共同創業者の任雷教授が生み出した「バイオニック伸縮ロボット理論と技術体系」をベースに、ロボット全体の構造、核心構造部品、動力システムなどのすべてを独自開発し、バイオニックじん帯など柔軟性や強度、耐久性に優れた新素材を組み込んだ生産方式を打ち出した。

現在、バイオニックロボットの分野で300件を超える国内外の特許を取得しており、伸縮自在のロボットハンドやロボットアームを開発した。 また、歩行ロボットのプロトタイプが完成し、実験室内で実際の歩行に成功した。 2025年には、バイオニック伸縮ボディ技術を採用した次世代の人型ロボットを開発する計画だ。

カテゴリ別の製品の特長は以下の通り:

  • バイオニックロボットハンドは、34自由度で人間の手の動きのほぼ98%をこなすことができ、箸の使用や針への糸通しのほか、ボトルのキャップを閉める、本のページをめくるといった多くの日常作業が可能。ミリメートル単位の精度を誇り、耐荷重性能はキログラムレベルに達する。
  • バイオニックロボットアームは12自由度で、独自開発の統合型人工筋肉アクチュエーターを採用、自重の最大50%の耐荷重性能を実現した。コンパクトで可動域が広いため、狭い場所での細かな作業に適しており、人とロボットが協働する際の安全性も確保されている。
  • バイオニック歩行ロボットは、人間の足首と膝関節の構造を模倣して設計されたもので、耐衝撃性や安定性に優れ、消費エネルギーが低く、人のような三次元の歩行能力を備えている。 歩行時のエネルギー消費を示す移動コスト(Cost of Transport)は人体の1〜2倍で、従来型の多関節人型ロボットより低い。製品開発が大きく進展したことにより、月泉倣生は営業開始からわずか1年ほどにもかかわらず、急速に収益化を進めている。2024年には、多くの分野で製品が実用化され、数千万元(数億円超)の新規受注を獲得した。

例えば、エネルギー分野では、国家電力投資集団(SPIC)と戦略提携を結び、ロボット技術をドローンや洋上風力発電での作業などに導入する取り組みを進めている。軽量ロボットアームやロボットハンドをドローンに搭載して活用するほか、ドローンを使った空中作業などの分野で協力し、高精度で動きの幅が大きく、操作しやすい軽量型のロボットアームとロボットハンドを開発していく。

一方で、特殊作業ロボットの分野も急成長を遂げており、特に地震や洪水、鉱山事故、火災、警備などに対応できる特殊ロボットの需要が徐々に増加している。今後は、無人作業ロボットや特殊ロボットの開発を目標に掲げ、特殊な作業や危険環境、油田・ガス田などの場面で細かな作業を行えるよう、改良を加えていくという。また、月泉倣生は人型ロボットを開発するほかのトップ企業とも協業し、自動車産業、航空産業、科学研究、教育などの分野でロボット技術の実用化と活用を推進している。

*1元=約21円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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