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中国スマートフォン大手、小米科技(シャオミ)の日本法人の大沼彰社長がインタビューに応じ、日本で独自のリアル店舗網を展開する方針を表明した。中国で展開している「小米之家(Xiaomi Store)」を参考に、スマホやIoT家電、さらにはEVを含む製品を一体的に販売するショールーム型の店舗を目指すと明らかにした。
また、中国国内で販売が好調な子会社・小米汽車の電気自動車(EV)の日本市場への投入に「期待したい」と意欲を示した。
同社は中国では数千店舗の小米之家を運営し、スマホを軸に多様な機器を通信でつなぐIoT家電などでの互換性を武器に販売する手法を採用している。多様な商品カテゴリーでコストパフォーマンスの高さを売りにした商品を投入するシャオミは、「米粉(Xiaomi Fan)」と呼ばれるファン層を築いている。
シャオミの盧偉氷総裁はすでに、今後5年間で海外に1万店の小米之家を開店すると表明している。シャオミが得意とする「人・車・家をつなぐエコシステム」を展開し、ネットとリアル店舗を組み合わせる小売モデルを海外市場にも持ち込む方針だという。
この動きは、日本市場での店舗開設計画とも符号しており、大沼社長は日本へのEV投入は「今すぐは難しい」としているものの、将来的に日の店舗に人気のEVが加われば、大きな話題となることは間違いないと述べた。
安価モデルがシェア押し上げ
日本では主力のスマホ市場では、大手通信会社の携帯「キャリア」の販売網がシェアの約9割を占める。シャオミもインターネット通販などで独自に販売してきたが、日本ではキャリアの手を借りずに販売を大きく伸ばすのは難しいのも現実だ。
米調査会社IDCのデータによると、シャオミは24年4~6月期の日本でのスマホ出荷台数が前年同期比約5.6倍の約49万台と大幅に伸び、シェアは1%から7%に急上昇し、米アップル、シャープ、米グーグルに続く4位に躍り出た。
数万円程度の安価なスマホがキャリアの販売網で受け入れられたのが要因だという。大沼氏は「価格が想定以上に響いたのは事実だ」と述べた。キャリア側にとっても1契約当たりの販売額を表すアープ(ARPU)という指標が、大画面や高速充電の機能により向上する傾向があり「歓迎されている」と話した。
ただ「シャオミのブランドが理由で買っていただいているかという意味では、まだ途中の段階だ」と指摘する。キャリアの店舗で店員に安価な価格などで推奨されて購入されたケースが多いのではないかと分析し、「24年7~9月期は6位以下になり、キャリアの採用状況に影響されやすい」と語った。
リアル店舗の準備着々
日本では実際に東京都渋谷区の商業施設「渋谷パルコ」に24年5月下旬から11月上旬まで約5カ月間、スマホやテレビ、ロボット掃除機を展示販売するポップアップストアを開設した。大沼社長は「機能を確認して購入していただける。高価な商品が売れる手応えを得た」と語った。
小米之家の店舗に関して「中国ではEVも取り扱って完成形だが、IoT機器と一緒に販売している香港のような形をまずは目指したい」と述べた。香港を含む中国では地方都市も含めて約12000店舗、海外での直営店も100店舗以上を展開しており、スマホ以外に多様な商品を持つ強みを生かそうとしている。
立地に関しては、中国では大都市の中心部の商業施設で商品の訴求を重視する店舗や、郊外の住宅街などの大型店舗で多くの家電などの品目数を扱う店舗などさまざまな形態があると指摘し、こうした店舗展開も参考にしていくという。
ライカとAI
中国のスマホメーカーがカメラの性能に力を入れる中で、シャオミはドイツの老舗カメラメーカー「ライカ」との共同開発を進めている。日本市場でも5月にカメラを重視したハイエンドスマホ「Xiaomi 14 Ultra」を発売した。「販売は好調で成果が出ている。どんなシーンで使えるかをさらに訴求していく」と述べた。
また、スマホに搭載されたAI機能について、翻訳や写真の不要な被写体を自動で削除する「AI消しゴム」などがすでに実用化されつつあるものの「これから本格化する」という。さらに「未来はいろいろなことが起きると思うが、データの戦いになる。シャオミの8億台のIoT機器が通信でつながっており、AIで家電とスマホ、自動車がトータルで便利になる」と強調し、将来的には家電や車から集まったデータがスマホの商品開発の強みにつながっていく可能性を示唆した。
“ありかも”、中国EV!
大沼氏は日本でのEV販売について「(日本法人は)販売会社なので、顧客が望む商品は届けたい」と述べ前向きな姿勢を示す一方で、「期待はしているが、日本市場は厳しい環境であり、考えなければならないことが多い」とも指摘。「日本では国内自動車メーカーが圧倒的な存在感を誇っており、EVの普及鈍化などを理由に慎重な見解を示した。
ただ、同じ中国メーカーの比亜迪(BYD)は2023年に日本市場に進出し、わずか2年目で2024年1~11月で約1994台の乗用車を販売した。女優の長澤まさみを起用し「ありかも、BYD!」をキャッチコピーにしたCMでも存在感を増しており「(中国メーカーが)日本に来て販売できることはそういう意味では証明された」と指摘した。
シャオミのEVについては「スマホやIoT機器と同じで、コストパフォーマンスの良い商品を届けるという意味で考え方は変わらない」と述べ、将来的な日本への販売に期待感を示した。
(36Kr Japan編集部)
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