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インドにはヒンドゥー教にまつわるさまざまな祭りが存在するが、中でも最も盛大なものが例年10~11月に迎える「ディワリ」だ。ディワリの時期には多くの企業がボーナスを出し、人々は家電や衣服を新調したり、近親者間で菓子の贈答を行ったりするため、インドの小売業界にとってはかき入れ時でもある。
EC世界大手のアマゾンもこの商機を見逃さず、ディワリの時期にはインド向けに特売イベント「Great Indian Festival」を開催している。また、インド国内最大手のEC「Flipkart」もこの数年、「Big Billion Days」と銘打った同様のセールを行っている。
2社による特売イベントはインドのEC業界で最大級のものであり、同国でもオンライン特売キャンペーンが浸透しはじめたことも意味する。ディワリに絡めたこの種のセールは2社によるもの以外にも続々と行われる。近年のアマゾン(インド)とFlipkartにとっては、年間売上高の4分の1が同国のお祭りに絡んだものだ。
9月初め、一連の特売イベントを前にしてFlipkartは親会社のウォルマートから2億2800万ドル(約250億円)相当の資金を調達した。同社は現地メディアに対し、商品配送用の識別コードを倍増させてディワリに備えているほか、3万店に及ぶ小規模店舗(パパママストア)と提携し、ラストワンマイルの配送を強化したと明かしている。
今年のGreat Indian Festival とBig Billion Daysは9月29日から10月4日の6日間にわたり開催された。今年の総括としてアマゾン、Flipkartは両社ともに地方からの受注と出店業者の増加を挙げており、販売総額は過去最高を記録したという。
印英字紙エコノミック・タイムズによると、今年のセール期間における両社のGMV(流通総額)は暫定値で前年比30%増の約30億ドル(約3300億円)だったが、アナリスト予想の37~38億ドル(約4000億~4100億円)を下回った。なお、昨年の両社によるGMVは23~29億ドル(約2500億~3100億円)だった。
販促を行えば販売額は伸びるが、相応のコストもかかるということだ。
先月28日付のFlipkartの発表によると、同社のEC事業を管轄するインターネット事業部では、昨年度末(今年3月末)時点の売上高が前年度を51%上回ったが、同時に損失額も40%増えた。そのうち、広告・マーケティング費用は前年度と比べ56%増加している。
Flipkartと同じく、アマゾンのインド法人も損失を計上している。先月29日に発表した前年度の業績報告によると、同社の2018年度(昨年4月~今年3月)の売上高は前年度比8%減の1123億2000万ルピー(約1700億円)だった。
また、インド政府は過去数カ月にわたり、Big Billion DaysやGreat Indian Festivalのような大規模な通販セールに目をつけており、調査を行っているという。これが両社の業績に影響する可能性も否定できない。また、全インド商業連盟(CAIT)は先月下旬に声明を発表し、アマゾンとFlipkartの特売イベントが既存の小売業界の衰退を招いていると指摘している。両社の安すぎる価格設定によって他の供給業者が競争手段を失い、撤退を余儀なくされているという。
(翻訳・愛玉)
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