米国留学生や移民向けのキャッシュバック付きデビットカード「Cheese」、シードラウンドで数千万円を調達

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米国向けキャッシュバック付きデビットカード「Cheese」を開発する「EarnCheese」は先ごろ、シードラウンドで数百万元(数千万円)を調達したことを明らかにした。テクノロジー企業に特化したベンチャーキャピタルの米「Amplify.LA」がリード・インベスターを担い、テクノロジーインキュベーターの米「Ideallab」や米フィンテック大手(Acorns、Payoff、Aspiration Bank、GreyCroft Ventures)の経営幹部も出資。資金は組織の構築とサービスの広告に充てられる。

EarnCheese創業者の連潤雄(Ken)氏は自社について、米国に住む外国人留学生と新規入国移民にサービスを提供する「チャレンジャーバンク(Challenger Bank)」と説明している。チャレンジャーバンクとは、従来型銀行と同様のサービスをモバイルアプリ上で提供する新しいタイプの銀行を指す。

起業の動機についてKen氏は、留学生だった彼や友人たちが、限られた資金をいかに有効に使って学業を修めるかに頭を悩ませていたため、新たなタイプの銀行のサービスが留学生や移民にとても役立つと思ったとしている。

しかし、米国で留学生や移民が短期間で社会保障番号(SSN)を取得し、クレジットヒストリーを蓄積することは難しい。このため、お得で便利なサービスを提供する新タイプの銀行は利用できず、無利子、キャッシュバック無し、高コストな従来型銀行を使わざるを得ない。

またKen氏は、米国で留学生が増える様子をみて市場の成長力を感じ取った。留学生は日常的にデビットカードやクレジットカードを使うことを必要としており、市場にはニーズがあるのに十分に満たされていない。

デビットカードのCheese

こうして、SSNを必要とせず、預金金利が高く、キャッシュバックが受けられるデビットカードCheeseが米国で初めて誕生した。米国には中国人留学生のほかにも5000万人近い移民がおり、Cheeseはこのような顧客層をターゲットに想定している。

Cheeseの主な特徴は、▽預金金利は1~3%▽利用1回ごとに利用額の0.5~1%がキャッシュバック▽SSN未取得でもクレジットスコアの獲得可能▽全米のATM3万カ所以上で手数料無しの預金引き出しが可能▽国際電信送金の受け取り手数料無し――となっている。

Cheese口座の特徴

Cheeseの預金口座ではあらゆる手数料がかからず、高水準の預金金利とキャッシュバック率が設定されており、従来型銀行の口座と比べた場合に年間280ドル(約3万円)相当がユーザーに還元されるという。では、EarnCheeseはどのように収益を得るのか。米国の国際教育交流団体NAFSAによると、2017~2018年に外国人留学生は米国で390億ドル(4兆2000億円)という巨額の消費を行った。EarnCheeseはユーザーによるCheeseの利用に応じて、決済システムとのレベニューシェアにより収益を得る。

その収益から一定額がキャッシュバックによってユーザーに還元される。利用1回ごとにキャッシュバックがあり、留学生につきものの消費シーン(学費支払い、書籍購入、航空券予約)のキャッシュバック率は最大1%に設定された。

Ken氏は、業界の高い参入障壁と創業メンバーの実力がEarnCheeseの強みと考えている。同社は、1年半近くをかけて事前準備を進め、米国でトップ20に入る大手銀行と戦略的提携を結んで製品と事業の遵法性を確保した。ユーザーがCheeseの利用登録を行うと同時に、提携銀行で預金口座が開設される。ユーザーの資金は提携銀行の口座に直接預けられ、連邦預金保険公社(FDIC)によって1口座当たり最高25万ドル(約2700万円)が保護される。

EarnCheeseの創業メンバーはいずれも留学経験があり、留学生が異国で直面する困難や戸惑いを熟知している。また、製品設計と顧客獲得に長けており、製品設計の担当者が大きな役割を果たす一方、Ken氏自身もかつてユニコーン企業2社で顧客獲得モデルの構築に関わり、ユーザーの確保を得意としている。収益の一部をユーザーへ還元しても、急速な顧客獲得と限界費用を小さくしていくことでスムーズな事業成長が可能となる。

今のところEarnCheeseが発表しているのはデビットカードのみで、Ken氏はそれが留学生と移民のニーズに最も適したサービスと考えている。将来的には他の事業を展開し、「Cheese Bank」を自ら設立する可能性もある。

Cheeseは来年、サービスが開始される見通しだ。Cheeseに対する消費者の反応は大きく、毎日300~500人がウェブサイト(earncheese.com)でウェイティングリストに登録しているという。
(翻訳・神戸三四郎)

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