世界で広がる規制の動き、電子たばこ冬の時代到来か

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世界で広がる規制の動き、電子たばこ冬の時代到来か

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ある統計によると、昨年の中国電子たばこ市場の規模は前年比28.5%増の51億5200万元(約800億円)に達している。

いわゆる新型たばこには、葉たばこ(ヒートスティック)を加熱する非燃焼加熱式たばこと、リキッドを加熱する電子たばこの2種類がある。非燃焼加熱式たばこは、たばこに直接火を点けないので、タールや一酸化炭素など従来の紙巻きたばこに含まれる有毒物質の摂取を大幅に減らすことができる。世界最大のたばこ製造・販売会社「アルトリア・グループ」が製造販売する「IQOS(アイコス)」などが有名だ。ただし、ヒートスティックはたばこ類に該当するため、関連する法律に則り、中国では販売が禁止されている。中国で主流となっているのは、ニコチンや香料を添加したリキッドを加熱し、その蒸気を吸う電子たばこだ。

世界で広がる規制の動き、電子たばこ冬の時代到来か

2018年、電子たばこの販売額は全世界で56億ドル(約6100億円)に達した。しかし、消費量・市場共に最大規模を誇る米国で、電子たばこへの見方が急激に変化している。

9月中旬、米国大手スーパー「ウォルマート(Walmart)」が電子たばこの販売中止を表明した。また10月上旬には米疾病対策予防センター(CDC)が、電子たばことの関連が疑われる肺疾患が1080件報告され、そのうち18件で死亡が確認されたとのレポートを公表すると、大手ドラッグストア「ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(Walgreens Boots Alliance)」と大手スーパー「クローガー (Kroger)」も間もなく販売中止を表明した。

電子たばこの生産、販売の禁止令は世界中に広がっている。9月時点で、189の国・地域が電子たばこ関連の規制を発表した。10月下旬には、中国でも国家たばこ専売局(STMA)と国家市場監督管理総局(SAMR)が未成年者の心身の健康の保護強化のため、電子たばこメーカーと販売業者に通販サイトを閉鎖し、ネット広告も取り下げるようにと勧告した。

中国での電子たばこ起業に天の時、地の利、人の和はあるか

ほんの3カ月前、中国では電子たばこスタートアップへの投資が盛んに行われていた。あるデータによれば、2019年上半期の電子たばこ産業における投資案件は35件以上、投資額は明らかになっているだけでも総額10億元(約160億円)を超える。

図は関連データを元に作成

中国は電子たばこ消費市場としては世界最大ではないが、昨年8月時点で電子たばこの一大生産拠点となっており、世界シェアは90%以上、特許取得数は87.9%を占めていた。最大の生産拠点である深圳には、電子たばこメーカーが500社以上ある。中国における電子たばこ業界の将来性を見込み、無数の起業家が競って参入した。

キャッチコピー「健康・トレンド・若さ」の失効

電子たばこは当初、「禁煙」効果を高めると宣伝され、従来型たばこの代替品として健康志向の愛煙家の間で人気を博した。しかし実際はどうだろうか。ニューヨーク大学の最新の研究では、電子たばこの蒸気もマウスの肺がんを引き起こし、膀胱がんやDNA損傷のリスクを高め、人間にも「非常に有害」との結論が出ている。

ネット上で販売される電子たばこのかなりの部分が青少年の手に渡っている。中国疾病予防コントロールセンター(中国CDC)が実施した最近の調査によると、中国の15~24歳の年齢層の電子たばこ使用率は1.5%で、そのうち45.5%はインターネットの販売チャネルを通じて電子たばこを購入したということだ。

タオバオは中国国内市場向けに「電子たばこの規制に関する通知」を出した。メーカーや販売店は電子たばこに関し、禁煙に役立つ、肺を汚さない、解毒効果があるなどの虚偽の宣伝をしてはならないというもので、この規制は9月28日付で発効している。室内での喫煙禁止、未成年者への販売禁止など、電子たばこ関連の問題は解決しなければならない正念場に来ている上に、電子たばこへの規制は世界中に広がりつつあるという課題に業界は直面している。
(翻訳・永野倫子)

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