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中国・安徽省の高速道路で3月29日夜、中国スマートフォン大手シャオミ(Xiaomi)の電気自動車(EV)SU7による重大な交通事故が発生し、3人が死亡した。この痛ましい事故は瞬く間に広く報道され、注目を集めている。
シャオミの創業者の雷軍CEOは4月1日夜、中国SNS「微博(weibo)」で、「引き続き警察の捜査に協力し、事件処理の進捗状況を確認していく。遺族や社会の懸念に応えるために最善を尽くす」と表明した。
この事故により、シャオミの株価が急落しただけでなく、国内外で中国製EVの安全性について大きな議論を巻き起こした。
現在、海外市場に製品を輸出している中国EVメーカーは少なくない。例えば、比亜迪(BYD)や上海汽車集団傘下の「名爵(MG)」、吉利汽車(Geely Automobile)といった老舗メーカーのほか、小鵬汽車(Xpeng)、理想汽車(Li Auto)、哪吒汽車(NETA)などの新興メーカーもある。
シャオミも今年3月、2027年にEV事業を海外展開すると明らかにしていた。競争の激しいグローバル市場で、“中国製”のラベルが貼られた自動車ブランドは、そもそも“信頼性テスト”を受ける必要がある。今回の事件で、「ドアが開かない疑いがある」「バッテリーの爆発による発火」といったキーワードが海外メディアで大きく取り上げられ、シャオミのみならず、中国EVブランド全体の安全性に対する懸念が一段と高まるだろう。
運転支援システム、本当に安全なのか
中国のEV市場の競争激化により、運転支援機能は製品の差別化と消費者体験の革新の焦点となっており、普及率は上昇し続けている。 蓋世汽車研究院(Gasgoo)の統計によると、2024年1~11月にNOAを搭載した乗用車は175万台に達し、2023年に比べて大幅に伸びた。
今回の事故から生じたもう一つの大きな議論は、運転支援システムはどの程度の責任を負うべきなのかということだ。
シャオミの説明によると、事故発生前に、SU7は自動運転支援機能「NOA(Navigate on Autopilot)」を使用中で、時速116kmで走行していた。NOAが障害物を検知して減速を開始した1秒後に、NOAから人が運転するモードに変更となり、その1-2秒後に衝突事故が発生した。
SU7にはAEB(自動緊急ブレーキ)など計16種類の自動安全機能が搭載されている。事故発生時にAEBは作動したのか?という点についても、関心を集めている。シャオミは「SU7の標準バージョンは、前方衝突警告(FCW)とAEBの2つの機能を含む前方衝突回避機能を備えている。AEBは時速8〜135キロの範囲で作動し、検知対象は車両、歩行者、二輪車の3種類だ。これは、同業他社のAEB機能と同様であり、現在のところ、路上のコーンや止水板、石、動物などの障害物には反応しない」と説明している。これは、現在のAEB技術の限界と、ユーザーの期待とのギャップを露呈した。
中国EVの海外進出に影落とす
中国EVの海外進出につれて、自動運転技術関連企業も海外市場を開拓する動きが加速している。特に中東地域では、自動運転に関する政策が比較的寛容で、路上テストに適した環境が整っており、注力する企業が目立つ。
一方、欧州連合(EU)など多くの主要市場では、技術仕様やデータのコンプライアンス、実証テストのルール、事故時の責任所在など、関連法規が厳格だ。テスラのFSD(完全自動運転)機能がいまだに欧州で広く普及していないのが、その一例である。
今回のSU7事故は、こうした海外市場における中国の自動運転技術への懐疑的な目をさらに強める可能性があり、関連技術やソリューションの海外展開にマイナスの影響を及ぼすだろう。
近年、中国の自動車メーカー各社が積極的にインテリジェント化を進めており、国内市場で急成長を遂げている。 しかし、こうした技術がグローバルに展開される際には、その安全性、信頼性、現地規制との適合性が新たなハードルとなりつつある。ハードウェアであれソフトウェアであれ、最終的には人々の安全と利便性に寄与する技術でなければならない。この基本原則は、どこの市場でも揺らがない。
(36Kr Japan編集部)
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